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あたしと同じ赤色で射抜くその目は、酷く温かくて戸惑った。
犯罪者にそんな目向けるなんて、やっぱり木の葉が平和ボケしてるせいなのかな。それでもあたしの幻術なんて諸共しないイタチさんにはやっぱり敵わないなあ。ああもう愉しくて参っちゃうよ、
あたしとイタチさんの力の差なんてきっとあの頃と並行で、いつだってあたしの一歩前を歩いて行くの。昔からずっとイタチさんの背中を見て、イタチさんの作ってくれた道を歩いてきた。そんな穏やかな道から外れたあたしにあんな目は受ける資格ないのに。
幻術の中に居る彼ら――イタチさんの部下達を見下せば同じようにイタチさんも彼らを一瞥して視線を戻した。そこに心配の色は無くて何だか変な感覚。
「あたしを殺さなくていいんです?」
「話があるんだろう」
「ええ、それはもちろん」
瞳からは何も読むことはできなくて、無言を貫くイタチさんに口元が歪むのが分かった。
「2年…、サスケが大蛇丸の器とされるまでに約2年」
「…そうか」
「どうするつもりです?」
「どうもしないさ」
淡々と話すイタチさんに自身の眉が寄る。この人はサスケをどうも思っていないと言うのだろうか。
「じゃあ、あたしが殺してもいい?」
苛立ちを隠すこともせず、そう言った途端に変わった空気。痺れるような殺気に足の爪先から駆け登る興奮。全身で感じる、強者の殺気に身体が震えて大声で笑ってしまいそうだった。
「っ、ふふ‥話も出来た事ですし、そろそろ行かないとあたしも怒られてしまいますからね」
「待て、名前は今何をしている?」
「さあ、何をしているんでしょうね」
面をしていてよかった。こんなにも愉しいのは久しぶりで理性が緩みそうになる。
でもよかった、ちゃんとあの日の出来事はイタチさんにも刻まれてたって分かったもん。大好きな赤色、うっとりする
「頭のてっぺんから、つま先まで、ぜーんぶ…あたしのモノだよ」
130208
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