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サスケが大蛇丸に誘惑されようが、あたしが大蛇丸を殺そうがきっと何も変わることは無くて無情にも日々は過ぎて行くんだろうと思うと、妙な気持ちになった。
「サスケ、盗られちゃいましたか」
「‥ッ!!」
かつて天才と謳われた彼は今や暗部総隊長で、そんな彼に今も昔も変わらない畏怖と好奇の視線。木の葉はいつだって異端を受け入れたりはしなかった。弱いから群れて己が強いと錯覚する、愚かで哀れで、…自分と重なって嫌になる。
「お久しぶりです。…イタチさん」
「まさ、か…名前、?」
面をしていたって、気配を消していたってあたしにはどれも意味無い。イタチさんの気配なんてすぐに分かるんだもん、あたしに隠し事なんて絶対にできないよ。…なあんて
「ねぇイタチさん。あの日何故、対抗しなかったんですか?」
「…何の事だ」
「惚けるんですか?‥ふふ、あの日ですよ?あたしが、一族を殺したあの、夜のこと。」
言い切るのと同時に、暗部の一人が術を掛けてきた。まるでそれが合図とばかりに次々と技が繰り広げられるけどどれも味気のないものばかりで興奮なんてするどころか萎えるばかり。なんて思いつつも今日は戦いに来たわけじゃないのだからいい迷惑でしかないんだけどね。
「どうしてこうもあたしの周りは短気ばっかりなのかなあ。…今日はただ話をしに来ただけですよ」
「信じられるか…ッ!」
「隊長!拘束の命令をッ!!」
そう言った姿がいつかの出来事と重なって、つい手が出た。
たかが暗部。こんな奴ら黙らせることなんてもう造作もないけれどそれじゃあ意味無い。下手に恨みを買う事も抑えたいし、…だいたい、力ってものは出し惜しみするものなのに、ね?
「…話を聞こう」
「さすがイタチさん。話が分かる人でよかったですよ」
ねえ、暗部のみなさんは気付いているのかな。すでに術中にいることを――…
130204
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