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あの日やっぱり大蛇丸は殺しておくべきだった。
憎悪にまみれるあたしを見てマダラさんは愉しそうに笑っているけど、今はそれすらもあたしを苛立たせる材料へと変わっていく。
伝説の三忍――その一人である綱手様が木の葉の五代目火影に就任したと、久しぶりに顔を見せたマダラさんは開口一番そう言い放った。それだけなら別にたいした興味も沸かない話だったのに。
――大蛇丸がうちはサスケを狙っている
予想していなかったわけじゃない。力のついていない今のサスケを誘惑することなんて簡単だ。あたしの言葉通り力だけを欲してるあの子に"力を与える"なんて言えば、喰らいつくことなんて容易に分かっていた。
「…大蛇丸はどこ?」
「そう殺気立つな。」
幼子をあやす様に咎めるマダラさんはやっぱり愉しそうで、いつもならその顔をされれば嬉しくてそそられるように同じ笑みを浮かべる事ができたのに――、
「ヤツに会う前に、…ヤツの部下にサスケが殺されるかもしれないなァ」
「!!」
心底愉しくてしょうがないらしいマダラさんは、面の内できっと口角を釣り上げているんだろう。なんて考えてやっぱり苛立ちが増すのがよくわかった。
「その目が久しぶりに見れた事だ、オレは行くが…名前、」
「なあに?」
「――サスケを狙う輩が何も大蛇丸だけとは、限らないだろうなァ」
「っ!!…、わかってる」
なんて、虚言もいいところだ。
あたしと同じ赤色の瞳を弓なりに曲げたあと気配が失せたのを感じれば、無意識に大きな息が出た。
「はあ、…マダラさんも大概不器用だよね」
熱くなっていた頭も、マダラさんのおかげ(せい?)で冷静になることができた。大蛇丸は必ず潰すにしても暁に居る限り独断での行動はタブーなのだから。
かと言ってあたしが指咥えて眺めてるなんて、無理なんだけどねえ
130204
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