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「お前ら二人はここワシが始末する…ッ!」
そう強い目であたし達を射抜く姿は、さすが伝説と謳われるほどの迫力でぶるりと体が震えた。愉しいと久しぶりに感じるこの空気に酔ってしまいそうになったあたしを止めたのは苦しそうにこちらを見上げるサスケだった。
獲物を狙うような鋭い視線で射抜く姿はとても愛らしくて思わず笑みが出てしまう。
「手ェ出すな…、こいつを倒すのは、オレだ‥ッ!!」
「ふふ、死に急ぐ事も無いのに…ばかな子」
虚ろな目であたしの手を追っていくサスケは酷く加虐心を擽って、ゆっくりとその細い首へと手を這わせれば今さら抵抗しようともがき始めて笑えた。
「あ"ッ、ぐ‥あァ"…ッ、名前、‥ぇ」
「今のままじゃあたしを殺すどころか、サスケなんてすぐに死んじゃうよ」
そんなの、絶対に許さないよ。
あたし以外の誰かに殺されるなんて、絶対に…、ダメだよ。
「あたしへの恨み。もっとあげる」
「うわあぁあああああああ!!」
あたしを追う限りサスケはあの日を忘れるなんてできないの。むしろずっと鮮明で濃くリアルに知って、そのたびに苦しめばいい。そしていつまでもあたしだけを心に刻むの、あたしの姿、目、容姿、性格、言葉…ぜえんぶ。
「残念だのォ、お前らはもうワシの腹の中」
叫ぶサスケを眺めていれば景色が変わった。…部分口寄せか何かだろうか?難易度の高い技をこうも簡単に使う姿はやっぱり一筋縄ではいかなさそうだ。
「…鬼鮫こっち」
「名前さん、壁が」
肉の壁があたし達を追い越して出口を塞ぐ。大きく出た舌打ちに鬼鮫が窺うようにこちらを見たあと、あたしの瞳を見て笑いながらも問うてきた。
「何故退く必要が…?名前さんなら、」
「計算外よ、月読どころか天照まで使わされるなんて…、」
あの様子じゃ、暫くナルトくんを泳がしていても問題は無さそうだし…とにかく今は体を休めることが先だわ。
130202
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