▼ 45
「久しぶり、ナルトくん」
「あんた…サスケの…」
「こんなお子さんにあの九尾がねェ…」
自来也様の留守を狙って(とは言え仕向けたのだが)ナルトくんの宿泊先に訪れたあたし達を見たナルトくんは、本能的にか脅えた様子で思わず噴き出せば鬼鮫は訝しげにこちらを見たあと、すぐにあたしと同じように笑みを作った。
この間会った時はあんなにもあたしに吠えてきたのに今じゃどう?これじゃまるで子狐どころかただの子猫。九尾もこんな器じゃ随分と居心地が悪いんだろうね
そんな事を考えながら、徐々に近づく気配に口角が大きく上がった。ちょろちょろとあたしたち周辺を探るように動く気配は感じていたけど、まさかあの子だったなんて。
「フフ、久しぶりだね、…サスケ」
「…うちは名前」
「この間みたいに"姉さん"って呼んでよ」
憎しみの込められたあたしの名前は、カカシさんに呼ばれるものよりも鬼鮫に呼ばれるものよりもずっと特別なものに思えて笑いが抑えられなかった。
「珍しいですねェ、二度も他の写輪眼が見られるとは…」
「いいね、その目すっごくゾクゾクする。」
よかった、あの日見せた映像はサスケの心に刻まれてあの世界での出来事は間違いなくサスケの記憶に刷り込まれている。だってね、だって、あんなにも憎悪に塗れた瞳なんだもん、この間よりもずっと深く根付いてる、
「アンタを‥‥殺す!!」
「おやおや、名前さん…随分と恨まれているみたいですが一体何者です?」
「あたしの弟」
あたしの言うとおりに生きてきた可愛いサスケ、今もホラね、こんなにもあたしに忠実でうちは名前を殺すためだけに力を欲する哀れで健気な愛しい子。あたしと同じ真っ赤な瞳があたしだけをみている、そう、サスケ…もっと満て
「アンタを殺すためだけに…オレは…、生きてきたァ!!」
「クククッ、過激な弟さんですねェ…名前さんには似ても似つかない」
「あたしの兄弟に手ェ出したら鬼鮫…お前でも殺すよ」
この間と同じ術であたしに向かってくるサスケは、闇色に染まり始めてて、やっぱり笑みが抑えきれなかった。
「…サスケ、相手してあげるよ」
120115
prev / next