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木の葉の警戒は思ったよりも薄くて拍子抜けしてしまうほどだった、とはいえ無駄な殺生はしないで済むに越したことは無い。
…それにしたって、本当にいつまでたっても此処は生ぬるく平和ボケしていて呆れるばかりだ。
「お前ら里の者じゃねーな…何しに来た」
「ああ、あなたはアスマさん…でしたか?」
先ほど入った甘味処でカカシさんがあたし達を怪しんでいる事には気づいていた、…それとサスケが来たことも。
「オレを知ってるか…、ますますお前らを逃がす訳にはいかねーな」
「別にアスマさん達と戦いに来たわけではないんですけどね」
やっぱりこの格好は目立つかとため息を吐けば凍った空気を纏いながらクナイがあたしを狙う。そこらの忍よりも断然違う速さに笑みを溢しながらも動かないでいるとクナイは笠だけを捕えていった。
露わになったあたしの顔を見てアスマさんと夕日紅さんが息をのむのを聞きながら鬼鮫の空気が変わったのを感じていた。
「この方随分失礼ですねェ名前さん、…殺しますか?」
「…落ち着きなよ、鬼鮫の攻撃は目立つ」
「ですがこのままではいつまで経っても里から出られませんよ」
今にも飛びかかっていきそうな鬼鮫を咎めて、アスマさんを見れば焦りを感じているみたいで滑稽だった。夕日さんもまた然り。ふふ、こんな小娘に臆するなんて、ほんと此処はぬるいわ
「まぁ…それもそうだね、」
「決まりですねェ」
鬼鮫の殺気は刺々しいからあんまり好みじゃないよ、嫌いじゃないけどね
130114
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