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マダラさんに「紹介したいやつらがいる」と言って連れられた先は結界を張った洞窟だった。薄暗い此処はいつかのうちはのアジトを思わせる空気があって少し落ち着く。
マダラさんの会わせたい人物と此処で待ち合わせなのだろうかと、一歩足を踏み入れた時複数の気配と動いた何かを感じ飛び退けば今し方立っていた場所に何かが地面を貫いた。
「誰だ」
「今のを避けるか、中々やるじゃねェか」
しゃがれた声が暗闇に響いた次には後ろで何か蠢く気配を感じ、上空へと高く跳ね上がれば爆風があたしを包み込んだ。
攻撃からして今のは最初の奴とは別人からの術だろう。…あとは一人。捕えた気配は三人分だが残りの一人は動く様子が無い。何か策があるのか、あたしを観察しているのか…、どっちにしてもあたしの気分を害するには変わりない。
苛立ちを誤魔化すように小さくため息をつけばあたしに近づく蠢く何か。
「チッ、鬱陶しい…!水遁 水牙弾!」
「ちょ、まじかよ!うん!!」
ついでに一番近い気配に放てば、声を荒げてはいたが容易に避けられた。それに小さな苛立ちを感じ、半ば八つ当たりだが抜刀しながら敵の懐へ潜り込んだ。敵の焦る声を聞き流しながらいつものように男の急所へと刀を―――、
「なるほどね、お前らがあの人の会わせたいやつか」
「え、あ?そ、そうだぞ!うん!」
男の左胸に寸止めをした状態で問えば、男はどもりながらも返事をした。こういうのは本人であるマダラさんに聞くのが一番だけど生憎マダラさんの気配はすでにここら辺には無い。
「リーダーが会わせたいやつがいるって言うからよ、入隊審査ってやつだ、うん」
「お前らは‥、暁か」
やっぱりか、と独りごちた言葉は闇へと消えた。
130112
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