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憎い憎いと語るサスケの真っ赤に染まった瞳があたしをうつしているって思うとなんて愉しくて嬉しくて気持ちのいいことなのだろう。
でもね、サスケ。そんなんじゃ全然足りないの、あたしが欲しいのはもっともぉっと強い思い、気を抜いてしまえば呑みこまれてしまうほどの気持ち、威圧嫌悪憎悪、まだまだ足りないもっともっとあたしを憎んで殺意をもって
「まだまだ、タリナイ」
それでも、ちゃんとあたしの言いつけ通り、あたしを殺すために生きているサスケには笑顔も出ちゃうよ。殺すために、だって、ふふ、今のサスケじゃ殺される側なのに、変な子。んふふ、たのしイ
――‥クスクス、クスクス、
静まったこの空気に漂うあたしの笑い声。
ふと僅かに空気が揺らいだその瞬間、あたしの後ろにはカカシさん。でもね残念、あたしは死なないよ、あたしが殺されるのはアナタじゃないもの、ザンネンでしたぁ
「随分なご挨拶ですね、カカシさん」
金属と金属が擦れる音が響き渡る。喧しいなあ、こんな音聞きたいわけじゃないのに。あたしはもっときれいな音が聞きたいの。例えば、たとえば、
「肉が切れる音なんて、ステキ」
「ッ‥!」
まるで木から生えたかのように現れたアタシに、カカシさんは綺麗な音で鳴いた。その声もっとちょうだい、もっともっとずっと
サスケの上忍師だなんて、アナタは向かない、サスケはもっと狂気染みた人がいいなぁ。そしたらきっとあたしを殺せるほど強くなってくれるもの。早くはやく待ち遠しい
「千鳥‥ッ!!!」
「バッ‥やめろサスケ!」
だめだめ、ぜんぜんだめ。威力はあっても当たらなければ意味ないもの。
一直線にあたしの元へと突っ込んでくるサスケの腕を木に叩きつけてやれば大きく穴があいて興奮した。これで、この技であたしの身体を貫かれたら‥、ああぞくぞくする‥ッ!!
「まだまだひよっこね、」
「黙れ‥ッ!!」
「何が足りないか教えてあげようか?‥憎しみよ、にくしみ。もっとあたしを殺したいと、力が欲しいと思わなければいつまでたってもサスケはイタチさんどころかあたしにだって追いつけはしない。」
「‥ッ」
「あたしを。このあたしを、コロシタイのでしょう?」
これは座興に過ぎないの、
ほらあの日のようにあたしの目を見て?そして呑まれるの、サスケは真黒な闇にのまれるの。いい夢見なさい、愚弟。
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