処刑台の主役 | ナノ


▼ 34

再不斬の一件が過ぎ、ようやくオレ達にもDランク以外の任務が舞い込むようになってきてから数日、今日も今日とてカカシ率いる4人1班で任務をしている最中だった。

カカシの動きが変だと感じた瞬間「伏せろ!」という怒鳴り声へ反射的に体を動かせばすぐに卍の陣だと指示が出る。こんなこと前にもあったな、なんて考えられるあたりはまだオレは冷静らしい。

隣に立つカカシの体が強張ったのを感じながら敵の居場所を探るが気配を完璧に消されていてまったく読めない。それが無性に腹立たしくもあり、自分との強さの違いに悔しさと嬉しさが混ざり合う。


「うん、相変わらず可愛い顔だね」


―――サスケ。


不意に聞こえた声に、全身の毛が逆立った。
この、声は。


「ッ……名前姉さ、ん」


ここ数年聞くことのなかった名を口にすれば記憶が蘇ってきた、地面に伏せたうちはの人間を顰め面で足蹴にする名前姉さん、父さんと母さんを殺したと嬉しそうにほほ笑む姉さん‥、イタチ兄さんが事件が起きた日に人知れず名前姉さんの名前を呟くこと‥、うちはの人間を嬉しそうに殺す場面を何度も、何度も見せられた。

そして最後には必ず「憎いでしょう」とオレを嘲笑う。
あたしを殺せと、殺してみろと挑発する目。オレを嘲笑い罵り堪能する、血に濡れた姉だった女。

憎しみだけを糧に、今までやってきた


「アンタを殺すためだけに生きてきた‥ッ!!」


優しくほほ笑む母さんも、厳格だった父さんも、何もかも!!壊したこの女を!!
オレは…オレは、ッ!!!


「許さねェ…ッ」


同じ紅色の目を弓なりにまげて笑う姉さんは、もうオレの知るヒトではなくなっていた。
殺せコロセと囁き声が頭を埋め尽くす


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