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すべてが終わった時に得たものは、満足感と喪失感だった。決して交わることのない二つの感情が胸中で燻ぶっていた。
絶命している両親だったものを暫く見つめていたけれどあまり長居していると暗部が来てしまう可能性も考えられるので早々とその場を立ち去ることにした。一度だけ、彼らの最期の姿を目に焼き付けて。
「名前…、っ!名前!!無事だったか!!」
「イタチさん」
「その血は‥一体誰がこんな‥、」
酷く狼狽えている彼は血のついたあたしの顔を両手で包みこんで、しっかりとあたしと視線をかち合わせた。理解するよりも反射的に彼は驚愕の表情へと変わっていた
「名前‥そ、の目は…」
「万華鏡みたいで綺麗でしょ?名前の通りだね!」
「名前‥お前、まさか‥」
「イタチさんの目に映るあたしはなんだか嬉しそうにしてるね、でもね、嬉しいからいいんだぁ」
そう言ったあたしはやっぱり嬉しそうにイタチさんの瞳の中で幸せそうに笑っていてなんだか少し嫉妬した。けれどイタチさんの瞳に映るあたしは決してイタチさんに触れることなんて出来ないと思えばやっぱり嬉しくなった。
そっと手を伸ばしてイタチさんの頬を包めば警戒するように体に力が入ったのが分かったけれど知らないふり。
「あたしを恨んで生きてください。どうか命尽きるその瞬間まで、あたしを憎んで生きてください。殺したいと、あたしのこの命を己の手で消したいとそう強く強く願って生きてください。」
「何を、言ってるんだ‥」
「そして最後にはイタチさんとサスケ、2人で一緒にあたしを殺しにきて」
「おい‥名前」
サスケにも伝えるつもりだけどね、お兄ちゃん絶対に伝えないもん
形のいい彼の唇にあたしの唇をそっと重ねれば彼の体が傾いた。影分身を2体作ってそっとその場に慎重に横たわらせてあげる
あたしが泣きながら一族を殺していく姿を何回も何回も見せてあげれば、彼が己を責めるように願いを込めて
120815
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