処刑台の主役 | ナノ


▼ 19

「父上、サスケに何を吹きこんだのですか」


久しぶりに任務も無かったのでサスケと修業をしようと誘ったが珍しく断られてしまった。寂しい気もするけどしょうがないと諦めてたのに何故かいたるところに火傷を負っているので問い詰めてみれば「父に認めて貰うため」だなんて。本当にあの人はいったい何なんだ。


「オレがサスケに?」

「ええ、貴方がサスケに何かを言ったからでしょう。」

「サスケに何かあったのか」


この機に及んでしらばっくれるつもりなのか。
父は大概人の気に障る事を易々としてくれる、沸々と湧きあがる苛立ちを抑えようと一度小さく息を吐いて真っすぐ父へと視線を向ければピクリと眉が動いたのを見た。

これはまずい事になるかもしれない。

そう思いながらも今回ばかりはあたしも引くわけにいかない


「今まで父上はサスケやあたしに構うことはありませんでした。それに関してあたしは特に何も言うつもりはありません、ですがサスケは父上に認めて貰おうと、父上に少しでも褒めて貰おうと頑張っていたのはご存じでしょう」


知らないとは言わせまい。怒気の含む視線を父上に向けながら背筋をピンと伸ばす。


「しかし、今はどうでしょうか。あの一件からイタチ兄さんへの関心は皆無。それに比例するかのように父上はあたしたちに構うようなりましたが正直あたしはそれに良い気はしません。」

「何が言いたい?」

「……イタチ兄さんは、いや兄さんだけではないです。サスケも貴方の駒ではありません。」


ぶわりと頭から足の指先まで射すような殺気に全身の毛が逆立った。今にも震えが出そうな体を必死に抑え込んで口を開く。


「…父上がこの先何をしようがあたしには関係ありませんが、兄さんとサスケを潰すような真似をするのであればあたしは容赦しない。……うちはの名なんていらな、っ!!」


言いきる寸前、父の右手があたしの首を捕えた。
反応が遅れてしまって容赦なく掴まれた首がギリギリと音を出した。それでも父から目を逸らすまいと向けたせいか気道が締まって息がうまくできない。


「‥っ、く、ちちうえ、は…いつからそんな人に、っ‥なってしまった、のです、かっ!!」

「いつから?…何を勘違いしているんだ。お前はオレの何を知っている?たかが数年オレと過ごしてきただけだろう。女のお前に何ができると言うのだ。少しは使えると思っていたオレが間違っていた…今、ここでお前を殺すことなど造作もない」


そう言った赤く染まった父の目に、同じように赤い目を歪ませたあたしの姿が写っていた。



初めからあたしは期待などされていないのだ。

120626

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