処刑台の主役 | ナノ


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九尾の事件が起きてから5年という月日が流れ、もうすぐサスケもアカデミーへ入学するし、イタチ兄は中忍になった。
イタチ兄は任務が増えたらしくあたしたちに構うことが少なくなっていて、それに比例して父の関心がイタチ兄へ全てと言っていいほど注がれていた。


「姉さん!今日しゅぎょう付きあってよ!」

「サスケはもう修行してるの?」

「うん!姉さんたちに負けてられないよ!」


そう言ってあたしの手を掴むサスケが可愛く思えてしょうがない。あたしもイタチ兄に負けずと劣らずのブラコンだと認めざる負えない。というか認める。


「…さいきん、父さん兄さんばっかりなんだ」

「そうだね。」

「兄さんもやくそく守ってくれないんだ」

「…そうだね。」


中忍になったイタチ兄は任務に勤しんでいるため、なかなかあたしたちに構ってくれないのはあたしも当人であるため知っている。それに父がイタチ兄ばかりなのも然り。
でも父にしろイタチ兄にしろ、あたしはある程度我慢も理解もできる歳になったし不満もある(転生しているとはいえ寂しいものは寂しいのだ)が仕方ない、と諦められるけれどサスケはまだ幼いし甘えたい盛りなのだからしょうがない。


「でもね、イタチお兄ちゃんもお父さんもサスケを想っているよ。」

「うそだ!」

「本当だよ?…それでも寂しいって思うならあたしがサスケをいっぱい想ってあげるよ」


あたしよりも小さな手を両手で包みこんであげれば、小さく頷いた。誰よりも父に認めて貰いたくて、誰よりも兄に憧れていて、誰よりも無垢であるサスケを。


「みんな、サスケが大好きなんだよ」

「……ほんとうに?」

「うん、皆照れ屋さんなの。だからサスケは冷たいって思っちゃうかもしれないけど、ちゃんと愛してるよ」


説得に近いけれどちゃんと伝えてあげればサスケは嬉しそうにはにかんだ。この子も、イタチ兄もあたしは大好きだと強く想った瞬間だった。


「それじゃ、もう少し修行頑張ろっか」

「‥うん!よーし!今度こそ姉さんに参ったって言わせるんだ!」



両手いっぱいに掴まえた幸せを、―――


120606


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