処刑台の主役 | ナノ


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あまり眠ることができなくて状況把握ついでに修行でもしようと外を出れば、どうやらうちはの集落には被害は無かったらしい、あちこちから血の匂いは漂っていたけれど中心部や火影邸の方は見るも無残な状況になっていた。
いったい何をしたらこんなことになるのだろうと思ったが、あの大きさの化け物が暴れたのだ、別に疑問も何もないかと自己解決に至って禁断の森へと足を進めた。
途中暗部や中忍以上であろう忍達を見かけたけれど、あたしなんか目にも入らないくらい忙しなく動き回っていた。


「昨日の男が…?」


今まで色々な事がありすぎたせいか忘れていたけれど、昨日の夕方に出会ったあの仮面の男が頭に過った。しかしいくら怪しすぎるあの男とはいえ九尾を連れてくる前に誰かしらに見つかるのでは…いや、あの男が時空間忍術を使えたならば話は別だが。
以前父の書斎で"時空間忍術"についての巻物を読んだことがある。例としてあげられるならば口寄せの術も時空間忍術の一種だ。口寄せの術ならば口寄せ契約を結んだ忍は成せる技だけれど、自身が時空移動をするとなると話は別だ。あたしの知る限り自身の時空間忍術を使える忍は波風ミナト…つまり4代目火影のみだ。

だけれど、昨日の怪しい男は自身の仮面‥というよりは自身の眼に吸い込まれるように消えたのだ。あれを仮に時空間忍術の一種だとしたら誰にも見つからず里へ出入りする事も容易だ。

そしてもう一つ、うちは一族の血継限界である写輪眼は尾獣を操ることができる。と言う事も記してあった。


つまり、だ


あの男は時空間忍術を使い里へ侵入し、写輪眼で九尾を操り木の葉を襲った。そう考える事が可能なのだ


「こんなところで何やっているの」


考えに耽ていた所為か、不意に聞こえた声に情けないほど驚いて振り返れば銀髪の男が立っていた。額あてには木の葉のマークが付いていたけれど昨日の事もあるため警戒してクナイを取り出せば今度は男が慌てる番だった。


「ちょっと待って、怪しい者じゃないから!」

「どう見ても怪しい!」

「何それ傷つくんだけど!」


面はしていないけれど暗部の格好を纏った青年は"はたけカカシ"と名乗りあたしと視線を合わせるためかしゃがみ込んで微笑んだ。とは言ってもほとんど顔は隠れていて表情を読み取ることは難しいのだけど


「‥うちは名前、です」

「!、キミうちは一族の人間なの?」

「はい。…フガクの娘、です」


フガクの名を出せば驚いた半面納得した様子に首を傾げればカカシさんは「綺麗な顔してるもんね」と真面目に言うから思わず引いた。


「‥やっぱり怪しい人だ」

「だから違うって!」


カカシさんへの第一印象は"怪しい人"


120606


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