05
共同生活が始まって一週間、ナルトはようやく環境にも慣れた様子で今では家事や手伝いもしてくれるようになった。
キミが喜べばボクも嬉しい
「名前ねーちゃん!今日さ!今日さ!イルカ先生にほめられたんだってばよ!」
「イルカくんに?」
クナイの的当てが上手だって言われたんだ!と諸手を挙げて喜ぶナルトに微笑んで頭を撫でる。髪を掬えばサラサラと指を流れるナルトの髪の毛に少しの安堵。
「それじゃ、今度は手裏剣を覚えないとね」
「おう!…でも、しゅりけんも苦手なんだってばよ、」
しゅん、としてしまったナルトが可愛くて「修行付き合うよ」とついつい甘やかしてしまう。でも、だって、ナルト可愛いんだもの。と自分にも甘えてしまう、私の悪い癖
いつまでも笑顔を絶やさずに喜んでいるナルトに微笑みながらも、少し慌てて声を出す
「アカデミーの時間大丈夫?」
「ああ!!や、やばいってばよ!!」
わあああ、だとか、あああ、だとか叫びながら家を飛び出そうとするナルトの腕をひっ捕まえると驚いたようなもどかしいような顔で私を見た。
「いってらっしゃい」
「あ、い‥いってくるってばよ!」
2人で決めた私たち家族のルール。アカデミーを卒業するころには両親を亡くした私と、ずっと孤独だったナルトの小さな憧れ。…私は特に憧れてはなかったけれど、
へへっ、と鼻を掻いて笑ったあとハッとして家を飛び出していったナルトを見送ったあと私は食器を片づけにリビングへと戻ることにした。
ナルトの件を考慮してか、暫く任務をまわさないと言ってくださった火影様のお言葉に甘えて私は自由な日々を過ごしている
「あら名前じゃない」
「あ、紅。何だか久しぶりね」
最近はめっきり待機所に行かなくなったため、上忍の人たちと会うことが少なくなった。少し寂しいと感じていたので紅に会えたことはすごく嬉しかったりする。
「おい、オレを忘れるな」
「…アスマ居たの」
「居たのって、お前なァ…」
見えてなかったわけじゃないけど、紅しか視界に入れてなかっただけよ。だってアスマはまず煙草の匂いで気付くもの。
他愛の無い会話をしながら甘味所へ向かって適当な席に着く。あんみつや団子を頼んだあと2人にナルトの話をすれば案の定驚いた様子で、アスマに至っては口に咥えていたまだ火のつけていない煙草を落としていた。…すごいあほ顔。
「あなた子どもなんて育てられるの?」
「どうゆう意味よ」
「どうって…だって、あなた子ども苦手じゃない」
「まぁ‥ナルトは別、かな」
そう言って笑えば、また驚いた様子の2人にくすくすと笑えば、何だか不満そうなアスマに気が付いた。
「なによ」
「……彼氏もいないのに子持ぢァ!!」
「その減らず口、閉じたら?」
くだらない発言をしようとしたアスマの足を容赦なく踏み潰せば可笑しな言葉を発して机に突っ伏した。
紅に「ねぇ?」と同意を求めれば引き攣った笑みが返ってきたのは気にしない。
「それで最近任務もついてないのね」
「ええ、火影様の配慮でね」
「アイツが寂しがってたわよ?」
「アイツ?」
アイツって誰だろう?寂しがるような人居たかしら、と考えていると、いつの間にか復活したアスマがニヤニヤと口元を緩ませてきたから足の小指だけを踏み潰したら、再び机に戻って行った。
「アイツって誰?」
「もう、かか‥」
「あれー?紅達じゃないの」
紅の言葉に誰かが声を被せてきて思わず睨めば、最近暗部をやめたらしいアイツだった。
「何しに来たの、カカシ」
「名前は相変わらずだねー」
アンタもね、と軽く返して私の隣に座ったカカシを横目で睨めば苦笑された。
「そういえばアスマと紅。火影様が御呼びだよ」
「あら、それじゃ私たちは行くわ」
「じゃーな、名前子育て頑張るんだぞ」
「‥紅、今度アスマのどこがいいか聞かせてちょうだい」
それじゃ、2人ともまた今度ね。と手を振って顔を真っ赤にさせて足早に去っていく紅と紅を追いかけていったアスマを見送った。まさに美女と野獣よね。
「…子育てって何の話?」
「そのままよ」
「名前、子ども出来たの‥?」
なんて深刻そうに聞いてくるのよ、と思いながらも「うん」と適当に答えれば殺気染みた空気が私たちを包んだ。‥場所を考えなさい、場所を。
「誰との子?」
「…ミナトとクシナ」
「え?」
やる気のなさそうな目を大きく見開いている姿はカカシにしては珍しい。いいもの見たな、なんて考えながらナルトの話をカカシにもすれば漸く納得したようだった
「そういえば、この間の件まだ許してないから」
「この間の件?」
「火影様を待たせてしまった件よ」
「あー…ハハハ」
「ここ、お勘定よろしくね。上忍さん」
あー、とか、はぁ、とか言葉を漏らして財布とみらめっこするカカシが可笑しくて少し笑えば恥ずかしそうに笑ったカカシにまた笑みが出た。
(あ、あんみつおかわりくださーい!)
(ちょっ、ちょっと名前!)
111110
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