04
夜が明け、陽が昇りいつまでたっても火影様からの連絡がこないため、ナルトと出会った場所へと足を運べば昨日と同じように必死に修行をする姿を見つけ笑みがこぼれた。
頑張る姿に微笑み
「精が出るわね」
「名前ねーちゃん!!」
キラキラした笑顔で飛び付いてきたナルトを受け止めて優しく頭を撫でてあげれば「また会えた」と小さく呟いた。そんなナルトにまた胸がきゅんとした私はショタコンなのだろうか、なんて密かな悩みだ。
「今日もみてくれるのかってば?」
「そうね、少しだけ付き合おうかな」
返事をしながらナルトを少し観察すれば、やっぱり肌や髪の毛は痛んでいる。まじまじと見てみればコンディション最悪ね。
「ん?どうかしたってば?」
あまりにも見すぎたのか、流石に気が付いたナルトに問われて、なんでもない。と返事をしたあと修行をするように促せば嬉しそうにクナイを渡された。思わず受け取ったけどどうしろと?
「あのさ、あのさ!みほん!みせてほしーいんだ!」
あぁ、なるほど。と納得しナルトが立っていた位置から的へとクナイを投げれば、ど真ん中に刺さった後的が割れてしまった。それでもナルトは満足したようでピョンピョン跳ねながら「すごいすごい!」と連呼されれば満更でもない。
「さ、ナルトの番だよ」
「よーし!見てろってば!」
あら、強気。相当練習をしていたんだな、というのはナルトの手を見ればわかる。後でしっかり消毒してあげよう。
「いけっ!」
掛け声と共に的へクナイを投げたナルトのフォームを観察してクナイを見つめる。
「‥あ、」
「あぁっ!!」
カツッ、と言う音と共にクナイは的の中央へ突き刺さった。ナルトも私も驚いた表情でお互いを数秒見つめたあとゆるゆると笑みがこぼれ落ちる。
「やるじゃないナルト!」
「やったってばよ!!」
本日二度目の抱擁をして2人で喜んでいると上空で忍鳥が高く声を上げた。漸く火影様からの連絡だ。ついでにナルトも連れて行こうと一度ナルトから離れれば寂しそうな顔で「行っちまうのか?」と聞いてきた。
「火影様に呼ばれてるんだけど一緒に行く?」
そう聞けばみるみる笑顔になって「いく!ぜったい行く!」と私の腕を振り回すナルトに困ったような、嬉しいような笑顔が出た。
ナルトと手をつないで(最初は恥ずかしいと嫌がっていたけれど)火影邸へ着けばナルトが少し心配そうな顔をして私を見上げるものだから「大丈夫」と励まして握った手に力を込めた
昨日と同じようにノックをして名前を名乗ったあと部屋に入れば、火影様が待ち構えていた。
「ナルトも一緒か」
「はい、ちょうど一緒に居たものですから」
私の手を握るナルトの力が強くなったので開いた手でナルトの頭を撫でつければ少しは肩の力が抜けた様子。
「して、昨日の話の続きじゃが今日から同居して貰う」
「はい、私の家でも構いませんでしょうか」
淡々と話をする私たちに蚊帳の外であるナルトがつまらなさそうに私の手で遊ぶので話を振ってみた
「ナルト、今日から一緒に住むことになったよ」
「名前ねーちゃん、けっこんするのか?」
「違う違う、私とナルトが一緒に暮らすの」
「ど、どういう意味だってば‥?」
混乱気味のナルトに優しく微笑んで昨日の話をかいつまんで話せば必死に理解しようとするナルトが可愛くてまた笑顔がこぼれた
「私とナルトは今日から家族」
「か‥ぞく、」
家族≠ニいう言葉を繰り返し呟くナルトに何度も相槌を打てば泣きそうな、でも嬉しそうな顔で力強く飛びついて来た。不意だったので思わず倒れそうになったけれど伊達に上忍はやっていない、何とか留まり受け止める
「異議は無いようじゃな」
「もちろんだってばよ!」
元気よく即答したナルトにふふ、と思わず噴き出せば「笑うなってば‥」と恥ずかしそうに私の首に顔を埋めたナルト。本当に可愛いんだから
「それじゃ火影様、一度ナルトの家へ向かいますので」
「うむ、ナルト野菜もしっかり食べるんじゃぞ」
「わっ、わかってるってば!」
やっぱり野菜は食べてなかったんだ。と納得し少し失礼かと思ったが降りてくれないナルトをしょうがなく抱えたまま火影邸を出た。
笑みが止まらないのは顔に当たるナルトの髪の毛がくすぐったい所為。
111105
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