03
任務時以上に急いで瞬身をして、火影邸へ着いた。部屋の前で軽く息を整えた後、ゆっくりとノックをして「名前です。」と声をかければ「入れ」とだけ返事が返ってきた。
僕たちは家族
「…遅くなり大変申し訳ありませんでした」
まずは、謝罪。これも全てカカシの所為だ。なんて強く思いながらこの里の長を待たせた私には謝る義務がある。
「別段急ぎでもないしの、いいんじゃよ」
「…本当にすみません」
「大方、カカシの奴がいい忘れてたんじゃろう」
「‥まぁ」
アイツ、しょっちゅうあるのかしら。それとも火影様が頭の切れる方だからなのかしら。バレバレじゃない
「それで、私に用とはいったい…?」
うむ、と呟いた後考え込むように黙ってしまった火影様をじっと見つめ探るがさすがと言うのだろうか、まったく感情が読み取れない。
暫くして漸く火影様は私を強く見つめて口を開いた。そして火影様から言われた言葉に私は絶句した。
――‥うずまきナルトの親代わりになってはくれんかの。
ナルトの事は大好きだし、ミナトやクシナの子どもを私も大切にしたいし護りたい。けれど子どもどころか結婚だって、彼氏だって居ない私に子どもを育てると言うのは如何せん難しい話である。
そうして私が、答えに詰まっていると眉を下げて「すまぬのう、」と口にした事により更に私は絶句した、というよりだらしなく口を開けて唖然としてしまった。
「そ、そんな!!謝らないでください!ナルトの事なら今日知り合いましたし、そのっ‥ミナトやクシナの子どもを守れるなんて私としても嬉しい限りです!」
そう言いきった途端、火影様の口元が微かに上がったのを私は見逃せなかった。そうして瞬時に悟るのは嵌められた≠ニ言う事だけだった。
「…でも、一ついいですか」
足掻くわけじゃないけれど、これだけはどうしても言っておかなきゃいけない。まぁ、言わなくたって火影様は知っているけれど、
「ご存じの通り、私は育児経験がありません」
どちらかと言えば、子どもは嫌いな分類(ナルトは特別)だから極力関わらないようにしていたし、アカデミー時代じゃ孤立していたから子どもがどんなことで喜ぶのか、悲しむのかなんて私には理解できない。
…前の世界での歳も加算すればいい歳をした大人だから当然といえば当然なのかもしないけれど。
「そんなことは気にしなくとも、お主のしてあげたいようにすればいいのじゃ」
「やってあげたいように…」
「さよう、それに育ち盛りだというのにナルトはラーメンやインタント食品ばかり食べておるからの‥食生活も見直してやって欲しいのじゃ」
「…あんな小さな子がインスタントを、」
なんて身体に悪い食生活なのだろう。そう言われてみれば今日ナルトに会った時少し顔色も悪かったし肌や髪質も少し荒れていた気もする。概ね野菜は摂って無いんだろうな、
「…わかりました。出来る限りの事はやってみます」
「そうか、お主にならば心おきなく頼めるわい」
「…頑張ります。」
相変わらず食えない爺さんだ。‥なんて口には出さないけれど。
「それでは、明日もう一度ここへ来てほしい。時間は後ほど連絡する」
「分かりました。」
「では、もう戻ってよい。ナルトを頼むぞ、名前」
「…御意」
ミナト、クシナ。あなた達の息子は明日から私の家族になることになりました。
111105
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