02
月日は流れ、私は上忍という位にまでなった。なるつもりはなかったけれど、何となく修行を積んで何となく上ランク任務をこなして来たら何故だか上層から暗部へと昇格(降格だと思うのは私だけ?)されたけれど私はまだ死にたくないという理由で丁寧にお断りしておいた。その代わりと言っては何だが上忍という位を手に入れた。
彼らの忘れ形見に会う
「あれ、名前?今日は非番なの?」
「…カカシか。」
「カカシか、ってねぇ」
いつも以上にやる気の無い顔で私を見つめるカカシに冷めた視線を送れば苦笑された…と思う。カカシの表情は分かりにくいのよ、マスクとかで。
「それで、今日暇なの?」
「暇じゃなかったらこんなとこに居ないわ」
「そ、ならちょっと付き合ってよ」
そう言うや否や私の手を取って何処かに連れていく。昔もこんなことあった気がするなぁ、と思いながらカカシについていく。
カカシに着いていき辿り着いた場所は演習場で、さらには小さな先客がいた。
「…ミナト」
「あれは先生じゃないよ。…まぁ先生の忘れ形見と言ったところかな」
―…なんで、あたらないんだってばよ‥っ!!
「…クシナ」
「アレンジ入ってるけどね」
小さな先客は私の知ってる彼らにそっくりで、酷く懐かしいけれど胸がズキズキと痛むのはきっと私の隣に居るカカシも同じ。
小さな黄色はクナイを的にうまく当てられないようで悪戦苦闘している。可愛いなぁ
「名前、顔緩んでる」
「……ウルサイ」
だって、可愛いんだもの。ミナトとクシナの愛息子、あの子の噂は私の耳にも届いていたけれどやっぱりあの子は彼らの子ども。強い心の持ち主だ
―‥だあああ!なんで…っ、なんでだってば‥
遂には頭を抱えてしまった小さな彼の元へ。背後でカカシが何か言っていた気もするけど気にしない、何かあれば行動で示すだろうし
「キミ、肩に力が入りすぎよ。それに足の位置、背中は真っすぐに。」
「‥な、なんだってば」
いきなり声をかけたからか驚いた表情の小さな彼に少し申し訳なくなる。軽く謝ってから、キミの動きを少し見てたの。と言えば納得したようだった
「私は苗字名前、キミの名前は?」
「ねーちゃんオレのことしらねぇのか?」
「私キミと知り合いだっけ?」
「ち、ちがうってばよ!オレは‥うずまきナルト!」
そう、よろしくね。と頭を撫でてあげれば嬉しそうに私の手を受け入れるナルトに私も嬉しくなる。
「じゃ、もう一度やってみて」
「お、おう!」
ちゃんと伝わるまで何度も教えてあげれば、ちゃんとこなしていくナルトを一々褒めてあげれば恥ずかしそうに、微笑むナルトに胸が締め付けられる。ああ、もう本当に可愛い
「それじゃ、私そろそろ行かなきゃ」
「え…、」
そろそろ行かなきゃカカシが寂しがってるし。あんな視線を何時間も送られればさすがに申し訳ない気もする。それじゃあね、と頭を一撫でして背を向ければ強い衝撃に思わず身体が傾いた。
「い、いやだ!」
「(なんて可愛いの…っ!)」
私の腰に手をまわしてイヤイヤと顔を振るナルトに素早く身体を反転させて抱きしめる。
「く、くるしいってば…」
「ナルト可愛いすぎる!!」
持って帰りたい!と叫ぶ私に応えるかのように腰に手をまわすナルトの手に力がこもる。少しの間2人で抱き合っていると誰かが私たちの近くに降りてきた。見れば知らない木の葉の忍。
「‥名前、火影様がお呼びだ」
「…男の嫉妬は醜いわよ」
「うるさいよ」
もう、と一息吐いてナルトを離せば名残惜しそうな顔で私を見上げる。ホントに可愛いんだから。
「ごめんね、火影様のところに行かなきゃ」
「オレもいく!」
「ごめーんね、君は呼ばれてないからね」
ナルトに気付かれないようにこの男を睨めば彼は眉を下げて苦笑した。笑って誤魔化すなんていい度胸してるわね。
「さ、そろそろ本当に行かなきゃ。」
「またあえる?」
「当たり前よ。会いに行くわ」
「オ、オレ!つぎ会うまでにクナイじょうたつするってば!」
それは楽しみね、と頭を撫でて今度こそとナルトに背を向けて男と一緒に歩き出す。背後でナルトがまたな!と叫んでいるのが聞こえて微笑む私に隣に居る男が何か言いたげな表情で私を見る。
「‥そろそろ解いたら」
暫く歩いて人気の無いところで男に声をかければ小さな声でばれてたか。なんていう男を思わず睨んだ私は正常だと思う。
解、という声と共に煙が立ち込めた後、見慣れた人物が現れた。
「それで、どういう了見で?カカシ」
「いや…アハハ」
乾いた笑いを溢すカカシに人睨みすれば、頭を掻いて「ごめんね」と謝罪したのでよしとしよう。暫く2人で歩いていると突然声を上げたカカシを見つめれば少し焦った様子で詰め寄って来た。
「そう言えば火影様がお呼びだ!」
「ばっ、もっと早く言いなさいよバカ!!」
一言怒鳴りつけたあと、瞬身で火影邸と向かったのだった。
111105
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