愛迷イズム | ナノ



※カカシ視点/夢主がナルトと出会う前のお話です





第一印象は、"怪しすぎる女"


彼女に一番初めに近付いた理由は"うちはイタチに一番近い存在"だったから。なんて今思えば我ながら酷いなぁ、とは思うんだけど、あの頃のオレは若かったし、暗部であるオレ達(オレにはバレてたけど)の目を潜ってうちは一族の生き残り"うちはサスケ"の様子を見に来るなんて、怪しいと思うに決まってる。
それにうちはの警護(及び監視)をしている暗部はそれなりの手練れを集めているハズだ、それを意図も簡単に、切り抜けてくるなんて、いくら殺気を感じなくたって敵のスパイだと警戒しても可笑しくないでしょ。

だから、さ
ある日名前に近づいて腹の内探ってやろうと思って、わざわざ上忍の格好までして、(まあ暗部の格好で会うわけにもいかないし)会いに行ったわけ


「ねぇ、キミさ」


なんて、ナンパみたいな風に近づいたってのに名前は冷えた瞳にオレを写して「…貴方か、」なんて言ったわけ。

当時は上忍なんてしてないし、見かけたとしたって暗部の格好だし勿論、面だってしてる。まー、髪の毛は流石に隠せれてなかったけど。でもあの時の名前の返答は明らかにオレを知っている風だったから、柄にもなく驚いちゃったよ。


「貴方か、ってオレのこと知ってるの?」

「うちは」


そう名前が呟いた瞬間、オレ達を取り巻く空気が氷点下超えたかと思うくらい冷えて、若僧だったオレは戦闘体制入っちゃって。もはや条件反射だったよね。
でも、あろうことか抑え込まれちゃって。あの時は本当に驚いた

で、名前は殺気立つオレに「敵じゃない。信じろとは言わないけれど、忠誠は火影様にある」って、力強く言われて冷静になったよ。

でも、益々興味は出てきたよねー。だって自分で言うのも何だけど現役のオレを意図も簡単に押さえ込んだ上に聞けばまだ中忍だと言うし。何となく、力を隠して生活してるんだなと思った。根拠はないけど当たってる気がするんだよねー


「で、うちはが何?」

「貴方、うちはに居る暗部でしょう?」

「……それで?」

「それで、は貴方が聞きたいのでしょう?私が、どうしてあの子の元へ行くのか、を」


何処まで、己の内に気づいているのだろうかと、その冷えた瞳で、何処まで見えているのかと初めてオレは人に、忍に、恐怖を抱いた。
名前は、オレに見つかっているのも、オレが警戒しているのも、全部知っていて"生き残り"の元へ来ていたのだ。無謀なのか、策士なのか、いまいち喰えない人間だ、と言うのが第二印象だった。


「理由は言えない。けど上層部からも阻止されてたまにしか会えないの。…あの子に手を出したりしないから、見守ることは許して、欲しいの」


あの時の名前の瞳は、何かに耐えて、不安に揺れて、何故か親友を思い出したんだよね。ホント、今でも不思議なんだけど。

ま、そんな出会いもあって気付けば――君の虜になっていた



120407
[*prev] [next#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -