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両手で感じさせて
一晩宿で休んだ後は休みなく里へと舞い戻った私たちは、今にも任務をくれてきそうな火影様に丁寧なお願いをして非番を頂いた。決して脅したり弱みに付け込んだりしたわけではない。
ちなみにテンゾウにも休みをあげていたことには納得いかなかった。若いんだから働きなさいよ!ていうか働かせなさいよ若いんだから!と心の中で罵倒しながらテンゾウと見遣れば何かを察したのか即座に退出してしまった。つまらん奴め。
「それはそうと火影様、ナルトはもう帰還していますか?」
「そのことじゃが…、カカシからの報告によると、どうやら少しばかり面倒なことになっとるみたいでのう」
「……と、言うと?」
「任務について口外できん規則なのはお主も知っておろうに」
「ナルトは無事なのですか?」
「それに関しては心配無用、それにカカシがついておる。心配いらんじゃろうて」
カカシが居るから心配なのだ、とは言えまい。チクショウ、帰ってきたら根掘り葉掘り聞いてやる。1から10まで全部一寸狂いなく聞いてやる。決めた今決めた。
火影様の様子からしてこれ以上話す気がないみたいだしそろそろ私もお暇させていただくことにしよう。長い間開けていた部屋は随分と汚くなってしまったと思うし今日は思う存分掃除をして買い物に行こう。ナルトが帰ってきたときに綺麗な状態がいいしね。
「それでは私も失礼させていただきます。」
「ああ、ご苦労だった。」
およそ一週間ぶりに帰った自宅は、うっすらと埃を纏い生活感の無さがありありとあらわれていてほんの少しさみしい気持ちになってしまった。
昔はここに一人でいるのが当たり前だったというのに、今ではナルトが居ないとなんだか落ち着かなくて心細い。唯一の弱みと言っても過言ではないのだから、
「‥うし、掃除しよう。」
帰ってきた日は一緒に寝よう。任務なんて絶対に断ってやるんだから。
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