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仲間とじゃれるキミは、出会った頃のキミとはかけ離れていて、
言わなきゃ伝わらない
カカシと並んでナルト達の元へと行けば、私を視界に捉えた瞬間気まずそうに目を逸らす息子の姿にどうしようかと思ったけれど、隣にいるカカシが察したのかため息混じりの笑みを向けてきたことによって少し気持ちが軽くなった気がした。
「…何となく、察したよ」
「私も大概困っちゃうわよね」
まあ、いいんじゃない?と私の頭を撫でたカカシに、まだ幼さの残る少女の驚いた声が聞こえて目をやれば綺麗な桃色の少女と、つい最近知り合う事が出来たサスケの驚いた姿があった。
「サスケ久しぶりだね。」
「…あ、あぁ」
――ちゃんとご飯食べてる?睡眠は?家事大変じゃない?
なんて心配していれば、サスケが答えるより先に桃色の少女がたまらない、といった風に私に声をかけてきた。
「あの、カカシ先生やサスケ君と…どんな関係なんですか?」
「あ、キミとは初対面だったね。私は苗字名前。カカシとは…友人?でサスケとは…保護者希望してるけど、今のところは友人かな?」
「はぁ…?」
考えてみたら、カカシとの関係性を聞かれてもハッキリとしたものがなくて答えづらい。同期でもないし、先輩後輩とも何だか違和感あるし…知人と言うには軽い気がする。曖昧な関係に首を傾げていたけれど、桃色の少女の怪訝な顔にひとつ確かな情報を思い付いた
「あー、ナルトの親代わりなの。」
「ナ、ナルトの!?」
「そう、ナルトの。ナルトと仲良くしてあげてね?…えーっと、」
「あ、私はサクラです!春野サクラです!」
「綺麗な名前だね。紅一点ってのは色々大変かもしれないけど、サクラちゃんなら巧くやっていきそうだね。」
サクラちゃんの綺麗な髪の毛を撫でてあげれば、嬉しそうに目を細めてはにかんだ。うん、女の子って可愛いね。
「さ、そろそろタズナさんを送らないと」
「そうだってばよ!早く行くってばよ!」
あくまでも私と話す気は無いらしいナルトに寂しい気持ちを抱きながらも、気をつけてね、とだけ伝えればやっぱり気まずそうに頷いた。
「よし、…サスケも気をつけるのよ?」
「…ああ、」
「カカシ、皆を頼むわね。…気をつけて」
「ああ、行ってくるよ」
カカシの言葉に続くように、サクラちゃんは笑顔で「いってきます!」と、サスケは目を逸らしながらも「行ってくる」と、ナルトは一度私を見ただけで何も言ってはくれなかったけれど、私は皆の背に向かって一言だけ
「いってらっしゃい」
(笑顔で"ただいま"と言って)
120407
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