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朝からなんだか落ち着きが無いナルトを不思議に思っていたら、今日は卒業試験だなんて聞いてないわよ!
男の子の成長は早いもの
ナルトを見送ってから約束した通りイルカくんにお弁当を渡しに私もアカデミーに向かった。
「イルカくん…居ますか?」
「あ!名前さん、おはようございます!」
朝からイルカくんは爽やかだ。若さの違いなのかしら?…そんなに歳は離れてないのだけれど。お弁当を渡せば照れながらも嬉しそうに受け取ってくれたイルカくん。
「あ、そうだ。昨夜ナルトがご馳走になったそうね。…昨日の事といいごめんなさいね」
「いいんですよ。ナルトから名前さんのことたくさん聞けましたしね」
どこかいたずらっ子のように笑顔で言い放つイルカくんに悪寒が走る。ナルトってば余計なこと言ってないでしょうね?!
「ナルトの奴、名前さんのこと優しくて大好きだそうですよ」
「!、そ、そう…」
ナルトめ…っ!今夜は好物をたくさん作ってあげよう。甘やかしてなんかない。たまには必要なことなんだから…!
「名前さんって分かりやすくなりましたね」
クスクス、と可笑しそうに笑われて顔に熱が集まるのがわかった。…不覚。
しばらくナルトの武勇伝や昔話に花を咲かせていたけれど、そろそろ卒業試験が始まる時間なのでお暇することにした。
「イルカくん。…あなた先生らしくなったわ。きっと天職だったのね」
「っ!、はい!」
やっぱり笑顔って素敵よね。
ナルトもいい先生に出会えたわ。
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「ナールト?帰ろう?」
「ん…」
この様子じゃ落ちたみたいだ。あんまり気にすることもないと思うんだけどなぁ。なんて呑気に考えてた私に、心無い会話が聞こえてきて、なんだか泣きそうになった。
「…ごめん。名前ねーちゃん、先に帰ってくれってばよ」
「あっ…、ナルト…」
そりゃあ、受かりたかったわよね。前回も前々回も落ちたってイルカくんが言ってた。
「名前よ、お主にも話がある」
「…はい」
やっぱり、今日はご馳走を作ってあげなくちゃな。
120106
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