22
私が帰ってきたときの、あのナルトが忘れられないの。顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにして、笑顔で飛びついてきた私の可愛いかわいい愛息子。
甘えん坊と悪戯小僧
任務を終えて火影邸へ向かう途中、何やら怒声が聞こえて場所へ向かえば私がいない間にやんちゃを覚えたナルトがいた。
火影様を囲んでナルトを非難する声に混じって焦った様子の人を見つけてぎこちない笑みがでた。
「イルカくん、ごめんなさいね」
「っ、…名前さん、」
疲れたような、安心したような。そんな笑顔を私に向けるイルカくんに心底同情してしまう。
「コラ!ナルト!!晩ごはんを抜きにするわよ!」
「ゲッ!名前ねーちゃんまで来たのかよ!」
「迷惑かけたナルトにはお昼ごはんも抜きにします!」
「うああ!ダメ!だめだってばよぉ!!」
自分を吊るしているロープが軋むのも気にせずバタバタと暴れるナルトに落ちてしまわないかとヒヤヒヤしていると、ロープを掴んだ人が見えてホッとした。それはどうやら隣のイルカくんもそうだったらしい。イルカくんは優しいのよね。
「迷惑掛けて本当にごめんね。まだ授業中よね?」
「いえ、…まあ、ナルトを捕まえることは出来ましたし!気になさらないでください!」
「ダメよ。…そうね、今度ご飯でも奢るわ」
名案ね。なんて笑ったけれどイルカくんには遠慮されてしまった。律儀というかなんと言うか…
「じゃ、明日お弁当でも持っていくわ。…あ、これは拒否無しよ!」
まだ、「でも」だとか「しかし」なんて言ってるイルカくんは無視だ。イルカくんが押しに弱いのはわかってるのよ
(あ!ナルト!みなさんに謝りなさい!)
(イヤだってばよ!俺ってば凄いんだってばよ)
(そんな悪戯小僧には明日の朝食も抜きです。)
(うわぁあ!だめぇ!ごめんなさいだってばよぉお!)
120105
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