愛迷イズム | ナノ

21

ほとんど無理矢理木の葉に戻された私の心残りは、ただ1つ我愛羅の事だけだったのに。


 どうして、の無限ループ


木の葉に戻って数日、火影様から極秘で教えて頂いたことは「砂の一尾が側近を殺した。」と言うことだった。
砂を去るときに夜叉丸さんには我愛羅のことを頼んで来たのだけれど…、なんていつもいつも中途半端で他力本願な私はこうして後悔に飲まれ自分を嫌悪する。
――だって、彼の時もそうだった。


「名前ねーちゃん、元気無いってば…?」

名前さん!もっと一緒にいたいよ!

名前、弟を頼む


被る、重なる、大切な人たち。
大切な私の守りたくて、守れなかった人たち。


「…ナルト、ごめんね。」
「?、大丈夫だってばよ?」


首をかしげながら小さく微笑んで「いってきます」と家を出ていったナルトを見送ったあと、暫くして私も出掛けることにした。

久しぶりに来た所は、里の英雄たちが眠る場所。


「…、久しぶりね」


久しぶりに来て湿気た顔してるってばね!だとか、疲れた時には甘いものだよ。だとか小言を言われるのかしら。ええ、絶対言われてるだろうね。だってあなた達っていつもそうだった。


「どーしたのよ?名前、元気ないじゃないよ」
「…、そう?」


今、私ちゃんと笑えてるのかしら?否、答えはノーでしょうね。…だってカカシがこんなにも寂しそうに笑ってる。
ごめんね。今日はダメみたい。なんだか申し訳なくて、苦笑すれば目の前が暗くなった。


「無理して笑うくらいなら、泣いてくれた方がいいんだけど」


あの昔の無愛想な頃のように、ぶっきらぼうで、それでも私を抱き締める力は優しくて涙が出そうになる。


「名前は昔から、お節介やくくせに自分の事は隠すんだから」
「…お節介って何よ、」
「たまには、誰か頼れって言ってんの」


カカシの声があまりにも優しくて、苦しくて、…頬を伝うものを見られないようにカカシの胸に顔を押し付ければ、カカシが笑った気がした。


「…笑うなバカ」
「はいはい。ごめーんね」


腕の中は優しさと安心でいっぱいだった。


(名前が笑わなきゃオレも笑えない。なんて)


120104

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