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名前ねぇちゃんからの手紙は読み終わる頃には、キレイな文字も所々滲んでいたり、便箋の端がくしゃくしゃになっていた。
贈り物は自ら飛んでくる
名前ねぇちゃんからの手紙には、元気にしてるか。とか野菜もちゃんと食べてるか。とかばっかりで、いつ帰ってくるか、とか求めた答えは何にも書いてないことに、また、泣きそうになって下を向けば誰かの手が頭に乗った。
「なーに、不貞腐れてるの」
「…うるさいってば」
別に不貞腐れてなんかないってば、ちょっと、ほーんのちょっと、期待がうらぎられたっていうか、べ…べつに!オレってば名前ちゃんいなくたってすげぇことできる、し、っ…、
「っ、ふ…ぅっ…」
「泣くな、ナルト。…名前から預かりものじゃよ」
涙が溢れる目をゴシゴシと擦って顔をあげれば、大きな鳥がいて、思わず肩が跳ね上がった。
「…名前ねぇちゃん、から?」
恐る、恐る、近寄って手を差し出せば、羽を広げられて、何が起こったか理解する前に、怪しい男の人の足にしがみついた。そうっと慎重に足の影から顔を出せばこっちを見つめる大きな鳥。…び、びっくりしたってば…っ!
「この童が、名前の義子か?」
「しゃ、喋ったってばよ」
「ふむ、我は名前と口寄せ契約を結ぶ、オウだ」
――…く、くちよせ?
知らない言葉に首をかしげれば、怪しい男の人がオレの頭をぐしゃぐしゃと撫でて、「相棒みたいなものさ」と教えてくれた。
オレは、名前ねぇちゃんの相棒じゃなくて、名前ねぇちゃんに会いたいんだってばよ…!!
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