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危うく我愛羅に色んな意味で心を持って行かれそうになった日から、すでに数日が経っていて、いつものように我愛羅と修行をして宿屋へ帰ってみれば、予想外の客が私の帰りを待っていたのだ。
キミ宛てラブレター
「久しいな、名前」
しゃがれた声で私を出迎えたのは一匹の犬だった。
久しぶりに聞いた声に少し木の葉を思い出して、何でここにいるんだろう、と疑問だけれどまずは挨拶をすまそう。うん、挨拶は大事だ
「久しぶり。パックン」
「ああ、カカシが寂しがっておったぞ」
何でアイツが寂しがってるのかしら、と一瞬考えはしたけれどまずはどうしてパックンが居るのかを聞けばどうやらカカシからの使いらしい。
相変わらず犬遣い荒いわね、と同情の眼差しを向ければゴホン、と大きく咳払いをしたあと要件だけ伝えて帰ってしまった。
――‥ナルトが毎晩泣いてるから出来るだけ早く帰って来て欲しいそうだ。
「…想定内、かしら」
思ってたよりも遅かったから、私の事忘れたのか、とか病気になってないかしら、とか心配になってたところだったから、ナルトには申し訳ないけれどなんだかホッとしたのも本音。
とりあえず、と印を組んで口寄せの術をすれば煙と共に一匹の鷲(ワシ)が現れた。
「急にごめんね、オウ」
「名前、久しぶりだな」
大きな羽を広げ、私に挨拶をするオウの足に文を括りつけて木の葉へと運んでもらうように頼めば、快く引き受けてくれたのでお礼を言えば颯爽と飛び出っていってしまった。
「気をつけて‥ってもう見えないし」
帰ってきたら、久しぶりに色々と話をしようかな、なんて考えて疲れた体を休ませた。
――ナルト、喜んでくれるかな
111209
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