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あまりにも真剣に言うものだから不覚にも照れてしまった私は早々と別れを告げて宿へと向かったのだった。
そして、宿屋につくころには若干息が乱れていて、冷静になった私は苦笑いがでた。
小さくたって頑張りたい
次の日、我愛羅と会うついでに軽く運動をしていると数人の暗部に囲まれてしまった。
忍達は額あてなんて、もちろんしていなかったけれど、恐らく風影様の刺客だろう。なんて冷静に推測してみたり。
「砂の人は気性が荒いのね」
挑発するように笑みを浮かべれば、目の前に立つ男の眉が微かにつり上がったのを見つけて、また口角が上がった。
「たかが他国の上忍1人に対して砂の暗部が5人…ねぇ」
容赦のない殺気を浴びせてくる男たちの1人(恐らく小隊長)の目をしっかりと見つめたあと、彼らに問いかける
「我愛羅はあなた達に何かしたのかしら?」
「黙れ」
「彼をバケモノだなんて、あなた達が言えるのかしら」
「黙れと言っている」
「実に不愉快だわ」
「貴様に何がわかる!!」
小隊長らしき人物とは別の男が怒鳴ったのと同時に攻撃が降りかかる―――けれど、それは私には届かなかった。
私の目の前には不自然に砂が浮き上がっていて、無数のクナイが突き刺さっていた。
「…我愛羅、」
「名前さんに、――手を出すな…っ!!」
息を乱した我愛羅は私を守るように立ち塞がったかと思えば、男たちにそう怒鳴り散らした。その小さな背中は、とても逞しくて僅かな間に随分と立派になったと感動さえ覚えてしまうほどだった。
他人事のように我愛羅と男たちを傍観していたけれど、感情が高ぶったせいか我愛羅の力が暴走し始め、男たちを殺す勢いだったので後ろから抱き上げると漸くおさまった。ちょっとだけ焦ったのは内緒だ。
大量の砂に拘束され、吊るされていた男たちは力無く地面に落下した。
「…っ、ぅあ…ゃ、」
「大丈夫よ、生きてるわ」
だいぶ混乱している我愛羅をあやすように背中をリズムよく叩く。それをしばらく続けると何とか落ち着いた様子。
「我愛羅が来てくれて助かったわ。」
ありがとう、とお礼を口にすれば嬉しいような、困ったような、複雑な顔をして私の首に絡み付いた。
そうして私の耳元で小さく呟いた。
「…名前さんが無事で、よかった。」
心配した。とさらにキツく巻き付く我愛羅にいろんな意味でギブアップです。いや嬉しいんだけどね!?
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