07
後ろ髪を引かれる思いで里を出た。私にしかできない任務とは一体どんな任務なのだろうか。何故か任務内容は伏せられた謎の任務。いざ、いかん。
思い浮かぶのは眩しい笑顔
任務は砂の里で行われるそうで木の葉から3日目にして漸くたどり着いた。ここまで来るのに何度ナルトの元へ舞い戻ろうとしたことか…っ!
「木の葉上忍、苗字名前と申します。任務要請にて参りました」
「…確かに、風影様の元へ案内します。」
中忍の男性について行くと早朝だというのにちらほらと一般人に紛れて忍が警戒するように私を監視していて気分が悪い。
たかだか上忍1人に対して警戒しすぎじゃないかしら。いかにも「この里には、何かあります」ってバレバレじゃない。
「風影様、木の葉からの遣いの者を連れて参りました。」
火影邸とあまり変わり無い其所に失礼します、とだけ発して足を踏み入れる。
「そなたが苗字名前か?」
「はい。木の葉上忍、苗字名前です。」
先と同じ台詞で答えれば、微かに目を細めた風影様に何か違和感を感じた。
「そうか、此度の任務なんだがな」
いつだったかの火影様と同じように考えるように黙りこんでしまった風影様を見据えじっと待つ。
「私の息子を、」
「御子息様を…?」
「……殺して欲しい。」
風影様から発せられた言葉は、あまりにも衝撃的で、あまりにも予想外だった。
柄にもなく、驚愕に固まっていると細々とした声で、危険なのだ。と呟いた風影様に何か体の奥底からふつふつと沸き出るような感覚がした。
「‥何故でしょう」
漸く絞り出した言葉は、動揺がありありと出てしまったがそんなことを気にするほど私には余裕がなかった。
「ヤツは、人柱力なのだ」
そう言われて思い出したのはナルトの姿。きっと風影様の御子息もナルトのように忌み嫌われ、憎まれ、孤独を過ごしてきたのかもしれない。そして、遂には実父にまでも見捨てられてしまったのだ。
あまりにも薄情で、理不尽な大人たち。…火影様も相変わらずな方だ。
「その任務はお受けすることができません。…かわりに私がこの一ヶ月の間に、彼を鍛えましょう。」
「つまり、ヤツを殺さない、と?」
「御子息様に罪はありません。」
「甘い、甘ったれだな」
「何とでも。では、私は御子息様の元へ参りますので」
言うが早いか、足早に風影邸を出て御子息を探すと意外にも早く見つかった。
「お前なんていれてやらねー!」
「そーだ!こっちに来んな!」
無垢や素直な事は悪いことじゃないけれど、人を傷つけることは何よりも重い罪で、生涯背負うべき罪なのに、
―――バケモノ!
彼らは、それをまるで理解していない。
「お前なんて死ねばいいんだ!」
ああ、痛い。痛い。胸のずっと、ずっと奧が、チクチクと痛い。
「や…やだよ…!!」
少年がそう叫ぶと同時に生を受けたかのように砂が動く。
はっきり言って、助けたくなんかないのだけれど。それで傷つくのはあの、赤髪の少年。愚かな少年達を素早く抱き上げ砂を避ければ赤髪の少年は驚いたような怯えたような顔をした。
「風影様の御子息様でしょうか?」
「え、あ…ご、ごめんなさい‥っ」
「どうして謝るの?」
「え…だ、だって…」
ボソボソと語尾を濁した男の子に、やっぱり思い出すのは私の愛息子。つい癖で頭を撫でた私に驚いた様子だったけれど、彼もまた私の手を受け入れた。
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