掠れる視界に映るもの


何がどうしてこうなった。俺が何かやらかしたのか、いや今現在やらかしてるのは眼前の男…猿飛なんだが。いやマジで誰か何があったか教えてくれ是非詳しく

先日、猿飛に俺の元に来るなと注意をした頃から周りに何と無く違和感を抱えつつも俺を慕ってくれる仲間たちと任務やら雑務やらをこなしていた。
それに加え、此処、甲斐を治める城主ーー武田信玄様へのお目通りも適ってあれよあれよと言う間に時は過ぎた。

猿飛の口からよく出る、旦那。所謂、真田幸村様に挨拶も済んだのもあって少々浮かれていたのかもしれない。


「才蔵、っ」


久方ぶりに俺の元に来たと思えば、気付けば仰向けに押し倒されて思考は一旦停止。やっぱり新人が長に物申すだなんて出過ぎた事だったに違いない。今更後悔しようと後の祭りだ。
ドクドクと厭に乱れる心拍に眉が寄る。

沈黙を保つ俺(単純に喋る余裕が無いだけだったんだが)に猿飛は何を勘違いしたのか妖艶な笑みで「余裕じゃん」なんて言ってくれる。
余裕な人間はもっとうまい事対処するもんだ、と内心毒づきながらも縄抜けと同じ用途で猿飛の下から脱出を試みるが、所詮同じ穴のムジナ。俺の考えてる事なんて丸っとお見通しだ!詰んだ!出れない!!


「ぁッ、その、目…っ」


俺を殺すのかと、目を細めたというのにやっぱり猿飛は何を勘違いしたのか何故か嬉しそうに、でも苦しそうに喜んだ。乱れる猿飛の息を首元で感じながら思考する。


なんでコイツは欲情してるんだ。


マジで信玄様も幸村様も、猿飛を酷使し過ぎなんじゃね?ブラック企業もいいところなんじゃない?え、つまり俺はそのブラック企業に入社したわけ?えー…俺、此処やめようかな…


「ねぇ、才蔵…?」
「あ?」
「俺様、変に、なっちゃ…っア、」


……見たくなかった!!感じたくなかった!!
太ももに感じる硬いものは間違いなくアレで。俺も男だしナニかなんてすぐわかるわけで。問題はこの状況なわけで。


「冷静になれ。お前は疲れてんだ」
「や、ァさ、ぞぉ!みて、みてて…ッ」
「やだやだやだ無理!無理だから!俺無理やだお前変!!俺からも信玄様達に交渉してやるから!すぐ休め!今すぐにだ!!」


貞操の危機にまくし立てるように怒鳴ったのに、猿飛は至極興奮して。


「あァッ…!!」


絶頂を迎えやがった。マジキチ…





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