あけましておめでとう
2017/01/22 21:53

「新一!」
呼びかけた瞬間に、息を飲んだのが分かる。
こういう時の新一は大抵良からぬ事を考えている。
良からぬ事とは、俺にとっての、である。

「快斗、あの、俺さ」
「・・・ん?なぁに新一。新一のお願いなら大抵の事は叶えてあげるよ」

そう言って微笑めば、揺れる瞳が一瞬だけ俺を捕え、逸らされる。


いつだって視線を逸らす事なんてないくせに。
こういうときだけ、彼は俺を見ない。

「あの、、、快斗。俺、」

はくりはくりと動く唇がやけにもどかしい。
いっそ塞いでしまおうかと唇を舐める。

「年越しに、出掛けたくて」
「・・・・」
「と、友達に、誘われて」

しどろもどろで話すのは俺が反対すると思っているからだ。
視線を合わせない所を見ると、一緒に女の子でも来るのかもしれない。

(あー、しまったな。さっき塞いどけばよかった)

どろどろになるまでキスして、わけがわからなくさせて、こんな事言えない様に。
思いだしすらしない様に俺だけの事を考える様に・・・

「嫌だって言ったんだ!だ、だけどどうしてもって言うから、その」

答えない俺に言い訳まで初めて、これがあの名探偵か?と疑いたくなるほどに。


「ごめん、こういうの駄目だったよな。」

分かってんじゃん。なら言うなよ。
冷たく言ってしまいそうになってから、ぐしゃりと髪を混ぜて出来るだけ明るく笑う。

「いいよ、たまには友達付き合いも大事だしな」

つとめて何でもない様に、新一の重荷にならないように、束縛し過ぎてはいけない。
どんなに心配したって事件に巻き込まれる彼をいっそ家に縛り付けてしまいたいけれど。


「・・・いいのか?」


嬉しそうだね、なんて嫌味が口をついて出そうになる。
キラキラとした瞳は言葉よりも雄弁に、彼の心情が手に取る様に。
こういう時こそポーカーフェイス。


「良かった!じゃぁ今年は原宿まで行こうぜ!」
「うん、いってらっしゃ・・・」

ん?


「服部と白馬にも言っておいたんだ。快斗はこういうの嫌いだし、多分家でまったりしたいって言うかもしれないからって。でも二人で行くなんて絶対嫌だってあいつらが言うし、俺もお前とあいつらと年越ししてーなって!」

「いっしょに」

「そう、4人で今年も宜しくってしようぜ!」

「・・・うん」










はて、危ない思考の快斗君が名探偵に尽くす話が書きたかったのに、収束つかなかった
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