(゚ー゚*)
2015/05/31 21:57
秘密の花園、
そういえばそんなお話を読んだ事がある。
ふとそんな事を思いついたのは目の前に広がる庭があまりにも広大でその話の中に出てくる花園を彷彿とさせたからだ。
春が過ぎて初夏に近い今は、流石に手入れが行き届いて雑草は鳴りを潜めているがいろとりどりの花々が咲き誇り圧巻だ。
「つーか、城に来たわけじゃねぇよな?」
自問自答したくなる位には混乱している。
自分が来たであろう後ろの道も、両脇も、目の前も、大体同じ様な景色をしていて目が回りそうだ。
鳥の声は聞こえるが、他の音が一切しない。
門をくぐって、右に曲がったらまっすぐです。そう答えたインターフォン越し、もしかしてあの声の人物は自分から見た方向ではなく、邸宅側からの話をしていたのだろうか。
気力も体力も底が見え始め、今夜は野宿かと考えが過った瞬間。
さわさわと水の流れる音が聞こえた。
限りなく乾いた喉を潤す為に、このさい何でも構わない。
小川なら水も綺麗だしいいなぁ、と考えて邸宅にあるのなら噴水かもしれないと思いなおす。
噴水。
イメージ的には金持ちの玄関前にあるものだ。
つまり、当たりって事か。
先程逆の道にいかなくて良かった。
胸を撫で下ろして一歩踏み出した瞬間ソレは首元にヒヤリと・・・
「お前は誰だ、ココで何してる」
野性味溢れる格好の美しい青年が、空の様に澄み渡る蒼に若干の殺意をのせて俺に訪ねた。