久々に
2015/04/16 22:41
「うそ、だよね?」
青子の声は震えて、その声色は絶望と、ひとかけらのやっぱりという気持ちがこもっているように聞こえた。
心臓は嫌な音を立てて鳴り響き、乾いた口からは言葉は出ない。
ただ、ポーカーフェイスのみを崩さずに、出来の良い筈の脳みそは白いまま。
(もう、無理か・・・)
「あ、」
「青子!あぶねぇからこっちこい!」
バタン、ドアが大きな音を立てて開き、俺と青子は同時にそちらを振り返る。
「かい、と?」
「いいから早く!どんなに紳士だっつっても犯罪者なんだぞ!」
うそ、小さく動いた口は言葉を発さなかったが、青子の顔は驚愕に染まったまま。
「後で迎えに行くから、今はこっから離れろ!!」
「でも、快斗は」
戸惑いながらも、後から来た男を幼馴染だと認識した青子は少しだけ心配そうに、けれど嬉しそうに幼馴染の心配をする。
「俺は大丈夫だって、お前の親父さんも呼んどいたから!」
それにコレもある、と鉄パイプを振って見せる。
「う、うん!」
分かった、快斗も気を付けてね!!
その声にひらりと手だけ振り返して此方を見つめる男。
「・・・何の真似です、名探偵」
「さぁ?ただ単にお前だけじゃないぞっていう当てつけかもなぁ?」
にやりと笑う顔は黒羽快斗ではない。
「ほんと、髪型変えるだけだったから俺でも出来た」
「しっかし、お前も俺もあぶねぇ橋渡ってんだから、気をつけろよ」
人の事言えない者同士、な?と首を竦める探偵の両脇に腕を差し込む。
「・・・ありがとう、ございました」
「どーいたしまして?」
抱き寄せた体は温かく、仄かに花の香りがした
ん?よくわかんない