自分でも驚く
2014/11/10 22:28


ふわりと揺れたスカート
色の白い、長くてしなやかな美脚を惜しげもなく晒して颯爽と歩く女子高生
凛々しい横顔からは生気が溢れ、美しい蒼い瞳はキラキラと輝き宝石の様
信号に当たり、少しだけ物憂げに伏せられた宝石には長い睫毛のかげがおりる
何気なく唇に宛てられた指は細く、綺麗に整えられた爪は淡く桃色

誰もが振り返り、そして見惚れる様な美少女

そんな彼女の頭の中では、人が数人死んでいる。
そのトリック、動機、証拠などを上げていき、パズルのピースの様に組み合わせては小首を傾げる

「これじゃぁ不完全だ」

呟かれた声は美しく響き、周りの人間にも拾う事が出来たが生憎内容が不明だ
美少女が何か悩んでいると言う事しか分からず、けれども鑑賞物の様な彼女には話しかけられない

「あ、そうか」

パァ、と音がしそうな位に嬉しそうな表情で、華が綻びた様に微笑んだ彼女は携帯電話を取り出して

「これから警察に行く」

短くそう告げた

もしや、彼女を悩ませていたのは不埒なストーカー?!
周囲がはらはらと見守る中、少女は頷きながら言う

「犯人が分かった、・・・あの人だ」

少し物憂げな表情は、電話の相手に相談しているのだろうか
もしかしたら痴漢にでもあったか、現在も狙われているのかもしれない
彼女は俺が守ってやらなきゃ!
そう勝手に思い込む少し危険な思想を持った周囲の人間がそう思った時

「新一!!」

少し低めの、けれども爽やかで癖のないよく響く声が聞こえた
聞こえたと思った瞬間には彼女の横に現れた男・・・学ランを着た男子校生だ

「快斗、あれ?だって今」

ケータイと彼を見比べて、心底不思議そうに小首を傾げる少女は文句なしに可愛い
そんな彼女にほがらかに笑う彼も、顔の造詣が少女と似ている事から親戚だろう
美しい少年と少女をずっと見ていたい様な心地で見惚れていると、ついっと少年が視線を流した

危険思想をもったり、彼女に見惚れていた集団をぐるりと見渡してから

「新一、そんな話をこんな公共の場で話したら駄目だろ?」

恋人を甘やかす様に甘く優しく言った彼は、そっと彼女の額にキスを落として

『手ェ出したらぶっ殺す』

遠くにいる筈なのに何故か耳元で囁かれた気がした数名がビクリと体を揺らし、その中で視線まで頂戴しながらねめつけられた俺は走ってその場から逃げだした







* * * * * *

普通に生活してても日常生活に潜む危険思想者を目覚めさせてしまう魔性の新一と、そんな新一を少し離れた所で見守りながら(stk)的確に危険思想者を潰していく快斗があらわしたかったんや。
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