フト気付く
2014/04/15 23:11
「嫌なら俺を突き飛ばして逃げればいい」
マウントポジションでじっと見つめられながら言われた台詞に、咄嗟にずるいと思う。
好きで、手に入れたくて、それでも大切だからこそ諦めようとしていた人が自分を求めているのにそんな事が出来るわけない。
彼を一番に考えているのならばここで突き飛ばさずとも距離を置き逃げ出すべきだ。
「・・・っ」
あれやこれやと考えているうちに、カチャカチャとベルトの外される音と共に下半身に走る甘い・・・
「駄目だ、やめてくれ」
口ではそう言っても、抗えない体。
ここで逃げたら一生手に入らない者への渇望。
強く瞑った瞳をそっと開くと
「馬鹿だな、逃げるチャンスは幾らでもやったのに」
甘く囁いて、ゆっくりと飲み込まれる熱。
「くっ、」
熱くて心地いいソレに包まれながら、初めてなのに気丈にも俺を受け入れた名探偵を見上げる。
「馬鹿はどっちだ名探偵。これでもう俺はお前を逃がしてやれなくなる」
ぐっと強く腰を揺らせば、漏れてくる甘い吐息に眩暈がした。
強いアルコールを煽った時の様な、焼ける様な熱さと心地のいい酩酊。
俺の言葉にふっと笑った探偵は、ゆっくりと俺の指に細い自分の指を絡めた。