宝石とさよなら | ナノ


▼ 87



「ナマエ!」
蝶番が外れて吹っ飛んだドアの流れるような動きを目で追う。
転がり込むように入ってきた少…、青年に見覚えはない。何故彼は私の名前を知っているのか。
ぎゅうと手に持った服とシーツごと抱きしめる青年に内心悲鳴を上げる、これセクハラじゃないんですか止めてくださいよ。
悪だくみをする子供のような顔でニヤニヤ笑う綱手様が「我愛羅、顔位ちゃんと見せてやりな」とベッドにほぼ乗りかかっていた青年の脚を引っ張った。

「えっ我愛羅君?」

背中に回されていた腕が名残惜しむようにぬるりと腕に移動する。
肩に乗せられた顎の重みも無くなり、だんだんと体温が離れ全体像が視界に入る。
目の周りの隈、眉のない額と愛、私の知っている我愛羅君より少しくすんで落ち着いた赤い髪。
ナマエ……とつぶやいた声は紛れもなく我愛羅君で。

「わっ、わっ!久しぶり会いたかったよ!」
「オレもだ……っ!」

大きくなった狸をあの頃と同じようにぎゅうと抱きしめた。
半年で随分大きくなったんだねぇと頭をわしゃわしゃ掻きまわす様に撫でてやる。
気持ちよさそうに目を細めた我愛羅君が「ナマエは変わってないな」と抱きしめたときに腕から外れ、手持無沙汰になっていた手で私の胸部を掴んだ。

耳まで赤らめるサクラちゃんと互角なほど顔を染め上げて、指を動かしだした我愛羅君の腕を外そうともがけば、彼の背後から綱手様が拳を落とし込んだ。


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