宝石とさよなら | ナノ


▼ 505



のばされる左手がナマエの頭に触れそうなところでそれを振り払うと頭を下げ体制を低くし足のバネを最大限に使って駆け出す。
木の葉にいるときよりはるかに動けるようになっていたナマエに一瞬呆けた男たちはすぐさまナマエのことを捕まえようと駆けだした。
この通りから出ればサソリの目についてすぐにこちらへ回収しに来てもらえる手筈になっている。
チャクラでの通信が携帯並みに便利すぎて今の状態がとても不便に感じてしまうが仕方ない。とにかく足を進め合流すべきだ。
何より先ほどの振り払いでカプセルをくっつけるのはうまくいった。
分厚い着物の生地なら気づき憎いだろうしチクマちゃんが選んだ盗聴機器である。性能は疑うだけ無駄だろう。

10mほどの距離だがやはり本職の人間にかなうわけがなくすぐに追いつかれたナマエはギリギリ路地裏で組み伏せられていた。
かつかつと杖をわざとらしく鳴らしながら歩いてきたダンゾウを地面に押さえつけられたままにらみつける。
「強制じゃないなんて言いながら結局力づくなんですね」
「……可否すらないのは大人として常識に欠けているとは思わんか?」
お前がワシのことを咎めることができる立場だと思っているなら大間違いだと杖で目の前の地面を苛立たし気に数度叩いた。
「再度聞こう。砂との同盟がどうなってもいいなら拒否すればいい」
「……最低ね」
「何度でも言え、ワシは木の葉のために全てをささげてきたのだ」
今更娘一人になんと言われようと関係ないとニヒルに笑ったダンゾウだったが、耳に入ってきたこちらに近づいてくる雪を踏みしめる音にナマエを組み伏せていたトルネを立たせた。

「残念だ、時間がかかりすぎたか」
「連れて帰りますか?」
「いや、さすがに四影に言い訳が効くとは思わん。仕方ないが引くぞ」
是と頷き瞬身で消え去った三人のいた場所に屋根の上を渡り跳んできたサソリが降り立った。
砂と雪の混ざった不快な茶色が撥ねナマエの顔を汚した。
「……うまくやれたな?」
「少なくとも今のサソリの着地よりはね」
ようやく一つ任務をこなせたと安心からか顔を緩ませ調子に乗っているナマエの足を蹴とばした。


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