宝石とさよなら | ナノ


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トラウマを掘り返された我愛羅がひどく怯え探し出しに行ってしまったため、砂の代表として優先事項を放り出した風影の分まで生き残りの救出と保護に徹していた二人の元に我愛羅が文字通り飛んできた。
怒るにも怒れず、また自分たちも手立てのない二人の安否が心配だったため我愛羅に先を急かす。焦っている様子から見てやはり大なり小なり負傷しているのだろう。
医療忍術に長けた知り合いはいないから、最悪砂に帰るまで持ちそうにないほどの傷ならナマエの身体についてマタンと情報を共有しているサソリを修理して治療に当てさせなければならないだろう……。
「カンクロウ、カンクロウ!ナマエが!」
酷く動揺している我愛羅を兄らしく落ち着かせると、覚悟を決めてから我愛羅を視界に入れた。
「……見つかったじゃん?」
「我愛羅、怪我の状態は?」
どうだった?テマリが尋ねると我愛羅はわからない、けどオレだけじゃ何もできなかった。
「助けてくれ」弟がそう口にしたのはいつぶりだっただろうか。
我愛羅が少しずつ自分たちに歩みよりだしたのを感じながらその場をダルイと運よく負傷せずにいた侍数人に任せ、弟が足場を広げた砂の浮遊物に飛び乗った。

「我愛羅の……砂か?」
戦闘時我愛羅の360度全てを守るために瓢箪の砂が繭を作ることがあるが、それと同じような――だが真円の絶対防御よりはいくらも歪な形状の――瓦礫としては不自然な球体がまぎれて一つ転がっていた。
瓦礫の上に飛び降りた我愛羅はその球体にまっすぐ向かっていくため自分たちもそれについていく。
「ナマエ、呼んできた。すぐ助けるから待ってろ」
我愛羅が球体に総話しかけたことでようやくその物体の中にナマエがいるらしいことに気づいた。

「カンクロウ、今からたたくところに杭でもくさびでもいいから打って石割りしろ」
「アンタまでその中に居るのかよ……」
「これもうちはの術なのか?」
「あ、いやテマリちゃん違う違う。ごめんこれは私がやった。後で説明するからとりあえず割ってもらえる?」
蒸し暑くてもうそろそろ持たないと内側から呪詛の聞こえそうなサソリの文句にカンクロウは慌てて仕込みの修理用ポーチを開けた。


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