宝石とさよなら | ナノ


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思わず殴ってしまったが力加減を間違えたようでめちゃくちゃ痛がるヤックに「あ、ごめん」と短く謝った。
「お前ごめんですんだらなぁ……!」
「はいはい忍も侍もいらない、でしょ?そんなことは良いから早く幻術解きなさいよアンタ」

「でもヤック幻術にかかって無いよ?」
「嘘でしょテッサ、首が360度回る人間なんているわけないじゃん!」
アンタまさかコイツが朝からお化け見たとでも言うのと嘲笑し指さすマツリをどうどうと慰めるサリはため息をついた。
与えられた自室まで帰って来たはいいがその後何かに怯えたままのヤックを一人男部屋まで戻すほどの非道な人間のつもりはなかったため、とりあえずサリにヤックの友人を呼んでもらいつつもう一人のルームメイトのテッサと慰めていたのだ。
イッテツを連れて部屋に帰ってきたサリが何があったのかを訪ね、冒頭の鈍い音をたて鼻血で血生臭い現場へと戻る。
どうしよう幽霊だったらオレ呪い殺されるかもしれないと段々と非現実な主張を唱え出したヤックに「お前それでも男か!アア?」とマツリが今度はヤックの両目蓋をカッと指で無理矢理開け叫んだ。
今回はホームである砂の下忍が一番数が多くワンフロア貸切となっている為苦情は来ないがそれでも塔内を走った女の声になんだなんだと隣室にいた男どもが反応して駆けつけてくる。
それをイッテツが何でもないからと丁寧に帰し窘めると友人であるヤックの隣に腰を下ろした。

「んで、サリとマツリは身体は正面を向いたままだっていうけどヤックは確かに目があったんだろ?」
「でもコイツ気がするってだけで私たちの調査を邪魔したんだよ、手伝うって言ったのに」
横で「言ってねぇだろ!」と悲痛な叫びをあげた怖がりなヤックにテッサがとりあえずお前は落ち着けと背中を撫でてやっている間、イッテツは気になったのか何の調査をしていたんだと問う。
途端に押し黙ってしまった女子二人に困ったとばかりに眉を下げたイッテツへヤックが「ナマエの素行調査だ」と暈し答えた。


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