宝石とさよなら | ナノ


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最初からなかなかに話の分かる人物だったのか、はたまた歳をとって丸くなったのかは知らないが、初見で抱いた印象とは若干異なるサソリを背後には侍らせナマエは開会式の列に並んでいた。
シュデンちゃんのように顔布で目元以外を覆い隠しているサソリがまさかこの式に共に並んでくれるなんて夢にも思わなかった、だから式が終わったら迎えに行くと言っていたのだが。
「そもそも傀儡に用意するもんなんてそこまでねえよ」とチヨ様の工房に合った毒草採取セットとかそういう物ばかり鞄の中に詰め込んでいるサソリに若干呆れつつもまあ最低限のいう事を聞いてくれるならばと何も言わなかったが。
既に試験は始まっており、この我愛羅君の開会式の言葉を放送で聞けているのは、各教室に番号札を持った受験者たちと試験官、チクマちゃんから頼まれたテストを各教室に配布する私達下っ端と付き人のサソリだけだ。
4分の1は会場に入ることすらできずに時間切れで脱落済みだったが「少なすぎねえか?」とそこでも文句を飛ばしたサソリはちゃんと小突いて黙らせといた。

普段寡黙な方であるがそれでも仕事中ならばきちんと口を開く我愛羅君が、私の知っている運動会の宣誓などとはほど遠い血生臭い言葉で閉じる。
それを合図とばかりに私はこの教室の試験官代表にテストの束を渡してサソリと廊下へ出てきた。
さて。試験は約1時間その後待機で2時間。3時間でその逃げ水の塔へと向かわなければならない。
がさごそとポーチからチクマちゃんがくれた地図を取り出すがそれを指ではじいたサソリはそんなもの見るよりあそこは感覚で行った方が早いと私の前に来て先導を始める。
落ちた地図を拾いいらないなら…とリュックの中にしまうと慌てて先を行くサソリの背中を追いかけたのだった。

「ここはチャクラで異常成長した巨大蠍とかいるからそういうのにも気を配っとけ」
「うへぇ…わざわざ忠告有難う、サソリ今日なんかおかしなもの食べた?」
「傀儡がモノを食えるか。そもそも仕事はちゃんとやるぜ?オレ達暁は……」
仕事やらないやつらだけだったらそもそも組織としてここまで脅威の目を向けられてる訳がねえだろと突っ込みを入れるサソリに納得し、木の葉で貰った忍サンダルではなく砂漠を歩く用に新しく買った忍用の草履で砂を踏み鳴らした。

「ところで今後の暁の動きは解る?」
「オレに勝てた3人分だけ情報を教えてやっただろ、それ以上は規約違反だぜ」
お前たちよりあいつらの方が付き合いは長いんだ、今暁と敵対側にいるからってそう簡単に情報を開示してやるかとサソリは目を細め鼻で笑った。


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