宝石とさよなら | ナノ


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「三の霹靂!」
一と二の術を使い沼地となった演習場に雷鳴を響かせナマエの両手から走った雷が触れた水気を介し、鉱物を含んだ砂を溶かして波を生んだ。

「……一の砂」
辺り一面溶岩石になった演習場の中央で、ナマエはチヨ監修の元この場所を元に戻す作業に明け暮れていた。
「溶岩石だったから良かったものの、釣堀が近くになければ水が不足して危なかったぞ」
「す、スイマセン……」
粉末状になって舞い上がった鉱物を肺に取り込んで死ぬと脅され頭を垂れたナマエは大人しく溶岩を砂利程度にまでかえようとチャクラを練り続けている。
三つともすべて出せるようにはなったものの、範囲や軌道などを指定するコツが掴めずに全方位に散らばっていくチャクラ。
何度口頭で教えても習得できないナマエに、ため息を零すとチヨは水が無くなったぞと文句を言いに来たエビゾウに目をやった。
「ワシは釣堀にいる、お前は砂地に戻してから来い」
了解ですぅ…と広い演習場に顔を青ざめつつ地面を振動させるナマエの返事を背中に受け、エビゾウを率いていつもの釣堀へと帰っていった。


「おー、手掴みできそうなくらい無くなったな」
「暢気な事言ってんじゃねぇよォ、ねーちゃんや」
ほぼ全部持ってきやがってと恨みがましい物言いをするエビゾウがその場へと座り、それに続く様にチヨも膝を立て座った。

「エビゾウ、お前からも教えてやってくれ。わしの教え方じゃあこれからは効率が悪い」
「キンコウの時も姉ちゃんはそう言ってたな、けどワシは姉ちゃんみたいに物好きじゃあないんだ」
傀儡師なのに専門外の事に顔を突っ込むのが悪い、ペットは最後まで自分で面倒を見ろよと指をさし指摘するエビゾウにチヨはまぁ…と立てた膝に肘を乗せた。
「悪かったと思ってる、部下可愛さについ……な」
無駄に歳は食ったが慕ってくれるのはいつになっても嬉しいもんだ。ギャハと一笑し水筒の水で喉を潤した。


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