宝石とさよなら | ナノ


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「それじゃあ今我愛羅様から志願書を受け取った方は、明後日の午前9時から午後8時までに第二会議室まで持ってくるよう伝えてください」
私達二人のどちらかが必ずおりますので、とマジュが上忍たちに手をあげて自身の存在を主張させながら告げる。
ナマエも彼らに軽く頭を下げるとそれを目の端の方で見ていた我愛羅は解散…と会議を終わらせた。

上忍たちがぞろぞろと出て行った部屋で一息をつき、私が肩を回すと知らない間に結構緊張していたようでごきりと音が響いた。
思いっきりずれていた骨が擦れた感覚に顔をしかめれば隣にいたカンクロウ君が笑いながら肩を揉み解してくれる。
「何で緊張してんだよナマエ」
「いや、あの人たち全員が君たち兄弟くらいの強さだと思うとこう、なんていうか」
頭下げたくなるよね…と会社に入ってから数年で染みついてしまった社員根性に眉を下げる。
確かに、ナマエは人を使えそうにねえよなぁ。と私に返し笑うカンクロウ君に「言わないで」と手をあげ彼の顔面でぴたりと止めた。
使われてる方が思考停止しててもいいし楽なんです、人は楽な方に流れてしまう物なのですこれは本能なのですと必死に自分を擁護する私の隣で様子見していたマジュちゃんがわかるぅと笑いつつも同意してくれた。
「ほら、ほら!私が特別だらしないわけじゃないでしょ!」
「悪いともだらしないとも言ってないじゃん?」
昔からごろごろしてたらしいじゃん?良いと思うぜナマエらしくて。そう言うカンクロウ君は椅子を軽く倒し組んだ足を揺らしてニヤつきだした。
彼らが遊びに来たときはちゃんと動いていたし、監視も最初の数日以外いなかったはずだからおよそ我愛羅君が口を滑らせたのだろう。我愛羅君そういう事は喋らないでいてほしかったよ。
シュデンちゃんと志願書の余った枚数を数えている我愛羅君をちらりと目に入れ黙ってしまった私に、とうとう笑いを抑えきれなくなり大口をあけたカンクロウ君の額に砂のつぶてが飛んできて、ゆらゆらと斜めに倒していた椅子がカンクロウ君ごと後ろへと倒れた。
「これ以上ナマエに余計な事を言ったら目を狙う」
「自分で口を滑らしといてそれはないじゃん!」
「煩い、カンクロウが言わなければバレなかった」
弟の責任転嫁をするような発言に「お前人のせいにすんなよ」と傀儡を取り出したカンクロウ君と、彼の額に攻撃して来た時点ですでに瓢箪の栓を手にしていた我愛羅君が向かい合う。
びりりと目を合わせ兄弟げんかを始めそうな血の気の多い二人に上忍の写真付き資料の束で一発ずつ入れるのも時間の問題だった。


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