※櫂アイ百合風味
※ニコ動イメ卓に影響された
※アイチ→アイナ。櫂→トキネ
※なぁ櫂、お前…誰だ。
※ヴァンガ無関係






どうして自分は、男として生まれて来なかったのだろう。
それは、長年櫂トキネが思ってきたことだ。女としていると、何かと男が群がって仕方ない。
手元で機械を弄りながら、櫂はどうすることのできない疑問を頭の中に思い浮かばせた。

(最近、アイナ遊びに来ないな…)

アイナとは、櫂の従姉妹の少女のことである。小さいときからいじめられっ子で、何かと櫂が守ってあげたりしていた。だがそれは、もう数年前のお話。
アイナは一応受験生。櫂のところに来れる余裕はあまりないのだろう。家に閉じこもって必死で勉強している姿が、櫂には容易にイメージできた。
ちなみに手元の機械は明らかに改造されたスタンガンなのだが、その理由に関してはあまり突っ込んではいけない。

ピンポーン

珍しく、櫂のインターホンが鳴る。あの幼馴染み、三和だろうか。ならば無視を決め込もう。
そう思ったが、なんだか違うような気もしたので、櫂は自分の勘を信じ立ち上がった。
ゆっくりとドアを開けると、そこには勉強道具を持ったアイナが立っていた。

「あ、アイナ?どうした」
「…櫂、さん」

あ、あの。とどこか恥じらうアイナに櫂は首を傾げる。
一体どうしたというのだろう。アイナは真面目な性格なゆえに、櫂に頼ることは殆どない。だからこそなのか、櫂はちょっと深刻になり、アイナを家に上がらせた。
アイナはもぞもぞと落ち着かない様子で、ソファに座っている。櫂は紅茶を手渡し、ゆっくりとアイナの隣へと座った。

「何かあったのか?」
「……ん」
「?」
「痴漢、に遭いました」

唐突に告げられ、櫂は目を見開いた。
櫂も自分のルックスゆえにか痴漢行為に遭ったことはあった。だが、まさかアイナも遭うとは思わなかったのである。
アイナは相当怖かったのだろう。ぽろぽろと涙を零し、震えていた。

「シズカさんには言ったか?」
「…うぅん。…塾の帰りに、電車乗っていて。僕、急いで駅降りて、そしたら…」
「ここに来た、というわけか」
「うん」

アイナと櫂の家は、幾つかの駅を跨がなければならないほどに遠い。だがそれ以上に、塾も遠かった。いつ起こってもおかしくない状況にアイナはいた。櫂はアイナの頭を撫で、向かい合う。

「どんなことをされた?」
「…こう、胸を触られたっというか。お尻とか…」
「…」

逃げてきてくれて助かった。櫂は切実にそう思った。
櫂は立ち上がり、戸棚からがさごそと何かを漁る。何をしているのだろうと、アイナは首を傾げていると、櫂は小さな黒い塊をアイナへと持ってきた。

「櫂さん、それ…」
「スタンガンだ。何かあったらこれを使えば便利だ」

ここのスイッチを押せばだな、常人ならその日の記憶を吹っ飛ばせる代物だ。
そう説明され、アイナはスタンガンを受け取る。とても軽く、小さいので持ち運びやすい。

「俺も何回か遭ってな。よくそれには世話になっている。今度から持って行っておけ」
「う、うん」
「それから…」

櫂はアイナをぎゅっとする。アイナは目をパチクリするが、直に櫂に身体を預けた。

「今日は泊まっていけ、いいな?」
「…うん!!」

満面の笑みが、アイナに咲き誇った。



















「っていう夢を見たんだ☆」
「三和くん、僕はもう小さいときから、櫂さんにスタンガンなんて貰ってたよ?」
「当たり前だ。何よりこの俺がアイナを危険に曝すわけない。そんな奴が仮にいたら即刻アイナと俺の特製スタンガンがそいつの記憶と身体の機能を地獄へ送ってる」
「(何この女子達怖い)」









夢落ち。プッシュされすぎた。
あと、百合のときはこの設定(もう書かないかもしれないケド)











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