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「この後ちょっと出かけてくるわ」


朝食の片付けをしている最中に夫から言われ、素直に「いってらっしゃい」とだけ答える物分かりのいいデキた妻を演じる。
その台詞を聞くのは今月に入って何度目だろうか。

ねぇ、どこにいくの?
私と一緒には行けないようなところなの?

聞きたいけど聞けない疑問たちが心に居座り続ける。

プロの野球選手である一也と一緒にいられる貴重なオフシーズン。その中でも自分の休みと重なる日くらいは共に過ごせたら嬉しいな。そう思っているのは私だけなのだろうか。
しかも今日は結婚記念日だというのに。一也は忘れてしまっているのだろうか。
食後のコーヒーに口を付ける一也からは寂しさも気にしている様子も見受けられず、自然とお皿を洗う手がゆっくりになってしまう。

寂しい時に寂しいと甘えて、会いたいときに会いたいっと口に出していた付き合いたての時の勇気は何処へ行ってしまったのだろうか。
沢山の同じ時間を過ごしドキドキは安らぎに、一緒にいられることが興奮から安心へと色を変えてきたことを悪いとは思わない。結婚して夫婦ともなればそれが普通なんだろうし、より夫婦らしくなってきたと思えばいい事なのかもしれない。
けれど、そう思おうとしているのに納得しきれないのは、それだけ不安要素があるからなのだろう。
マスメディアでイケメンだと取り上げられたことで増えた女性ファン。ミーハーな声でインタビューする女子アナ。結婚を公言してくれているのにもかかわらずファンレターの中にラブレターが入っていることも珍しくない。
それに引き換え自分はなんて地味で普通なのだろうかと、弱っている時こそ気にしてしまう。


「昼までには戻るからメシは食いに行こうぜ」
「はーい、いってらっしゃい」


作り笑顔を貼り付けた仮面は剥がれなかっただろうか。
そういえばいつの頃からかお見送りのハグもなくなってしまったな、なんて気にしているのも私だけなのかな。一人取り残された部屋はどこか寂しくて、楽しかった結婚当初を思い出せば出すほど辛く思えてくる。


「取り合えず掃除しよ!」


毎日それなりに片付けているからさほど汚れてもいないが、何もしていないとマイナスな事ばかり考えてしまうから。いつも以上に細かいところや網戸なんかまで無我夢中で汚れと向き合った。
じんわりと額に汗がにじむほど熱中していれば時間なんてあっという間に過ぎていて、けたたましく鳴るスマホの着信でハッと我に返る。


『もしもし?今から帰んだけど・・お前、家にいる?』
「いるよー!掃除してただけー」


一也みたいに出かけたりしてないんだから。そんな嫌味を少しだけ込めていったけど一也が気付くわけもなく、「んじゃ」とすぐに通話は切られてしまった。既につながっていないスマホに向かってバーカなんて文句を言ってみることはできるのに、本人を前にしたら言えないのだから私もバカだよね。
それでもいつもなら帰ってくる前に連絡なんて寄こさないのに珍しい事をするってだけ、少しは悪いと思ってくれてるのかもなんて期待している自分もいた。
掃除で乱れた髪やメイクを整え終えたころ、ガチャガチャとドアの開く音がしたので玄関まで駆け寄る。


「おかえり、、って荷物凄いね」
「おーちょっと重かったわ」


両手いっぱいの荷物を抱えて帰ってきた一也は、ただいまと言いながらそのままキッチンへと荷物を置いた。


「昼は俺が作ってるから」
「え?出かける前に食べに行くって言ってなかった?」
「そう言わねぇとお前が作っちまうだろ?」


そう言って紙袋からタッパーやら鍋やらを取り出す一也に目を見開くしかできず、そのままキッチンに立ち尽くす。鍋を火にかけ、タッパーの中のタコのマリネっぽいものを豪快に皿へと移す一也の顔は何処か嬉しそうだ。
既に調理済みらしい食材たちが温められ、カットしたバケットをトーストすればあっという間に豪華なランチが机の上に並んでいった。


「すごい、美味しそう」
「おう、味は保証する」


倉持にもやっとウマいって言わせたし、なんて自慢げに言う一也は今の自分の発言が色んな情報を暴露したことに気付いているのだろうか。わざわざ倉持さんの家へいってキッチンを借りて、何度か試食させたって言っているんだけど。いままで行先を告げずに出かけていたのはコレだったのか。

疑問がすこし解消したことにより、午前中にグルグルと渦巻いていた不安やら嫉妬やらがほぐれていくのがわかる。
温かいうちに食べろと急かされ、一也お手製のビーフシチューを頬張る。大きいのにホロホロとほどけるお肉は前々から仕込まれていたのだろう。短時間ではできない料理たちにが全身へと染みわたっていった。
そして何よりも一也が結婚記念日を忘れていなかったことが嬉しくて、目頭が熱くなっていく。


「ちょ、何泣いてんだよ」


泣くほどは美味くねぇぞと涙をぬぐってくれる手が、より涙を誘う。泣きながらご飯を食べる私に呆れながらも、一也は始終優しい笑顔を向けてくれたから、つい最近不安だったことまで暴露してしまった。
私の愚痴の様な不満を受け止めながら、一也が困ったように頭をかく。


「不安にさせてるとは考えなかったわ、すまん」


やっぱ慣れねえことするとダメだな、なんて言いながら頭を下げる一也に慌てて首を振る。私の為に準備してくれていたのに、勝手に疑って勝手に不安になっていたのは私なのに。
お互い謝り合っていたらなんだか可笑しくなってしまって二人して謝罪が笑いに代わる。


「はぁ〜しっかしこれだけで泣かれるとはね。まだ序の口のつもりだったんですけど」


ひとしきり笑った後、食器を片付けた所で一也が再び大量にあった荷物の中にある紙袋を一つ手に取る。誰もがよく知る高級ブティックのロゴのはいった大きな紙袋からはリボンが少しはみ出して見えていた。


「夜はイイ所予約してるからさ、これ着ていこうぜ」


ちなみに俺もジャケット買ったからとニヤリと笑った一也に手渡され、紙袋を開けるとシンプルで上品なのに高級そうなワンピースが姿を現した。
普段女の買い物になんてついて行かない一也が、どんな顔でこの服を買ったのだろうか。どれだけ悩んでくれたのだろうか。
全身が震えるほど嬉しいのに、嬉しさで言葉が出なくなる事って本当にあるんだと初めて体験しながら、どうしても喜びを伝えたくて一也へと飛びついた。

危ないと言いながらもしっかり受け止めた状態でソファーへと腰を下ろす一也。自然と一也の上に座って抱き着いた状態になってしまったが、いまは恥ずかしいという感情よりも嬉しさが勝っていてるからか気にならず、そのまま一也に抱き着く。
ありがとうをどれだけ言っても言い足りないほどの感謝をどう伝えたらいいのだろうか。


「一也のお嫁さんで幸せです」


一也は私がお嫁さんでよかったですか?不満じゃないですか?
その質問を聞く前に「俺も幸せ」と一也が言ってくれるから、私はその唇にキスを落とすしか気持ちを伝える手段がなくなってしまった。
だけど、一也はいつも私が思っている以上のモノを返してくれる。
触れるだけのつもりのキスが唇を求めあうものへと変わり、何度も角度を変えて交じり合う。その激しさから逃れたくても、後頭部へと回された一也の手が許してくれない。
次第に絡み出した舌から滴る唾液も、それを舐めとる一也の舌先も、一つ一つが続々と身体の芯を震わせていく。
まさぐる様に全身を撫でまわされ、呼吸が浅くなってきたころには、秘部に一也の硬くて熱いモノを布越しに感じ、じゅわりとナニかがあふれ出した。


「んっ、かずや、、まだ、こんな時間、、、ふぁっ」


服の中へと進入してきた手が乳房を揉みあげるから、言葉が途中で遮られてしまう。
そんな私の反応を楽しみながら止まる事のない手がどんどん気持ちい場所を攻め立てていく。


「時間なんて関係ねぇよ。いま葵が欲しい」


もちろん俺にくれるだろ?と下から荒々しい目で見つめられれば、拒むどころか体が勝手に期待して喜んでしまうから。
お互いの服も、せっかく一也が買ってくれた服も床に投げ出したまま、互いに絡み合っていく。


「ふっ、、あんまり激しくはしないで、ね。夜動けなくなっちゃう、、んあっ」


自分ももう止められない所まで高揚してしまっているが、せっかく予約してくれたディナーを台無しにするわけにはいかないから。
せめて足腰が立つ程度で、と思って言った言葉はどうやら逆効果だった様で、一也がギラリとした眼でほほ笑んだのが分かった。


「立てなくなったら抱いて連れてってやるよ」


だから思いっ切り抱くぞ

そう耳元で言われた気がしたが、激しさをました一也に全てを持っていかれ、一也を感じる以外、なにも考える余裕などなくなっていた。




あげは様、こんにちは!この度はリクエストありがとうございました!
モンフレ様の喰いつきの速さに若干の恐れを感じながらも嬉しさでいっぱいです。
リクエストの御幸さん、他にも人気過ぎて驚きですがあげはちゃんのリクエスト内容なら書けるかも!っと私が執筆させて頂きました!双子の片割れほどあげはちゃんのツボは刺激できませんがご了承ください(笑)
そして、ラブラブチュッチュさせたかったのですがこれ以上は長くなるのでぶった切らせて頂きました、サーセン!!続きは妄想でお楽しもください。

当サイトが無事に二周年を迎えられたのも、あげはちゃんの様に当サイトを好きだと言って下さり、長く通って下さっている方がいるおかげです。本当に感謝してもしきれません。いつもいつもありがとうございます!!!励みになってますっ!
そしてツィやプライベートでも仲良くさせて頂き、充実した日々にさせてもらってます!
すこし頭おかしい二人ですが、今後とも仲良くして下さい!!

本当に本当にいつもありがとうございます!!!
write by 朋


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