身だしなみに気をつかってないように見られがちだけれども、ナツは結構気にしている。それでもどうしたって火の滅竜魔導師の自分はすぐに身体から火を出すわけだから、そんなお洒落は出来るわけがない。唯一珍しい桜色の髪だけは朝一応鏡でチェックしてきている。だが今日、鏡を見ると右よこに盛大に寝癖がついていて、水にぬらしてもなかなかとれない。
(そうだ。あのエビ)
ルーシィの契約している星霊の中のカニなのかエビなのかよくわからない星霊はたしかいつもルーシィの髪をセットしているなぁと思い出し。まだ寝ぼけ眼の相棒ハッピーを肩に乗せ、急いでルーシィの家へ向かった。
寝坊助のルーシィはまだ寝ているらしく幸せそうに眠っている。起こすのもよくないかと思ったが、とりあえず窓を開けて部屋に侵入。と、たんと窓からの着地を華麗にきめた所で、振り返ると寝起きながら怒っているルーシィがいた。
「不法侵入ーー!!!」
いつものように物を投げつけられるかと身構えた所、何故か何も飛んでこない。どうしたのかと顔を上げると、ルーシィが感動したようにすぐ近くにいてこちらを見つめていて、なんだか恥ずかしくなった。
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「うわぁ、これ寝癖?」
「おぅ。なかなかとれないからあのエビに直してもらえねえかなって」
「えー、もったいない!すごい可愛いのに」
「可愛いってなぁ…」
ナツの右側の跳ねた寝癖は、桜色のハートをかたどっていた。
桜色の髪って可愛いよなあ