.


その手の世界で格好良くて仕事も早いと有名なプロのフリー忍者山田利吉が、忍術学園の教師である彼の父親の元へ荷物や手紙を届けて何度目かのこと、突然現れた門の前にいつもいるへっぽこ事務員小松田秀作。彼のその無垢な態度と困った具合に利吉はペースをいつも持って行かれ、いつもイライラする。

(なぜかわからないけど)

そして利吉は今。そんな彼が、利吉が偶然立ち寄った村の路地裏なんかで男に囲まれているのを見かけてしまった。流石に無視はできるわけがない。小松田秀作のまわりを囲む男は見る限り所謂男性を好む趣向なわけで、危険だ。

「何なんですか〜僕はこれでも忙しいんですからね。いい加減しつこいですよ。」
「いいじゃないか兄ちゃん、こないだあんたがぶちまけたもん拾ってやったじゃねえか。そのお礼に少しくらい」
「嫌ですよ!何度もいってますが、僕は好きでもない人となんか無理です!」
「っち、いい加減にこっちも我慢ができねえぞ!」

小松田の言いぶりから、彼がこういう手合いによく遭うという事実に驚いている間に、一人の男が小松田をを押さえようとしたので、利吉はとっさに手がでる。

「いい加減やめないか。いやがってるじゃないか」
「あ!利吉さん!」
「てめえなんだ?!」
「彼のちょっとした知り合いだよ。小松田くん。」

呼びかけて、小松田の腕を掴んだ利吉は、周りから苛ついた男がつかみかかろうとしてくるのを軽く交わして小松田を担ぐ。少し格好良すぎることもできてしまうのが、山田利吉という人だ。

「全く君は、路地裏に逃げ込むだなんて考えが足りないんじゃないか?」
「でも利吉さんが助けてくれました。」
「そうじゃなくて」
「利吉さんて本当に格好いいですよね!さっき僕鳥肌立っちゃいましたよ!大好きです利吉さん!ありがとうございます!」

"毒気を抜く"とはまさにこういうことだと利吉は思い、自分も彼の笑顔は嫌いじゃない、好きだ。だなんて思ったことに気がついた。

(しかしますます目が離せないじゃないか)









.
君、好きな人ならいいのか?



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -