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忍者には『化物の術』というものがあり、噛み砕いていうと変装なのだが、その中には勿論『女装』なんてものもあるわけだ。
一年生の時から、例え優等生揃いのい組であったとしても潮江文次郎は女装というものが不得手だった。だがしかし相部屋のよしみである立花仙蔵はその点女装に関してはぐんをぬいて得意で、元々白い肌と丹精な顔立ちをしていたものだから、女性といわれても違和感が全くないほどであった。

「ああ、女装か・・」そう溜め息をつくと仙蔵はけらけらと既に女となった身で「私が指導してやろうか?」なんて笑う。

「お前は人にやってやるのは苦手だろう」

知っているか、一年生の時仙蔵は紅をさすのが何故かわからないがうまくできないと、文次郎に紅をささせていた。仙蔵はなんでもこなす器用な奴であるが、何故か紅をさすのだけは文次郎にさせてきた。それがどういう意味なのかあの頃はよくわからなかったが、今となってはわかる。



仙蔵の唇から、少しはみ出た紅を拭った。
(わざとやる可愛らしさに気付いた)





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「実は女じゃないのか」
「確かめてみるか?」



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