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※卒業後、死ネタ含
※全然それらしい描写はしてないですがうっすらと食伊(逆?)、文仙(逆?)風味前提だったりします。





白い雪の中にある戦の跡。折れた旗の枝が足元で折れる。藁でつくった防寒着の隙間から入り込む雪の冷たさにひやりとする。
「生存者を探す。か」
自分向きの仕事ではないなあ。と苦笑いをしながら、保険委員の面々が頭に浮かんでしまうあたり、自分はまだまだ卒業しきれていないと叱咤しなくてはならない。もう三年もたつというのに、いまだに忘れられない。忍びという仕事をしている中、どれくらいの奴が生き残っているのだろうか。自分から手紙を書かなくなったあたり、知らないのは仕方のないことなのだが、やはり気になってしまう。あの輝いていた頃が、あの時夢見ていた忍になった今からしてみれば、本当に大切になってしまった。せめて、敵として前に現れることはしてほしくない。

ガサッ と、しんしんと雪が降るなかで微かに別の音がした。急いで駆け寄ると、雪に埋もれて、かなり冷たくなってはいるが、まだ微かに熱がある。生きている!
「おい!大丈夫か?!」
脇に矢が刺さっているのがわかった。血が、白い雪に赤く染まっている。雪からだし、山の中へと担ぐ。





意識を取り戻したのは明朝だった。焚き火の熱に太陽の日差し。温かい日溜まりになんだか懐かしい夢までみてしまった気がした。自分は戦場に駆り出され、かなりの敵を殺したが、最後に殺した相手に強引に矢を刺された。根性のある奴だったのだ。
「あ、起きたか」
知っている声だと思った。振り向くと、髪は伸び、少し無精髭が生えはしていたが、
「留三郎…?!」
「やっぱり、仙蔵かー」
笑いながら山菜を調理しだす留三郎は、やはり留三郎だった。三年ぶりに会った。同期の中でも早くに忍びとして消え、手紙もやりとりしてこなくなり、音沙汰がなかった留三郎だ。生きていると知ったら、忍びを二年してから忍術学園の医務として働いている伊作がとても喜ぶ。なんていったって
「生きていたんだな…」
「死んだとでも?」
「お前は好戦的だからな」
「そりゃお前もだろ?」
「そうかもな」
鍋にどっからか捕ってきたのだろう猪の肉を入れ炒め出す、いい匂いがして、思わず腹の虫がなる。
「その調子じゃ、回復早そうだな!」
「…まあな」
何がおかしいのかケラケラ笑い楽しそうに料理をする姿は、全く以前と変わらない。
「…なぜ助けた?」
「任務任務」
「?」
「俺、今フリーなんだけど、あの戦の仕掛けた方のカラカサダケ城の城主が、戦争終わったけど人材なくしたから使えそうな奴は拾ってこいって、つまり生存確認してこいってな」
「なるほど…」
運が良かったというわけだ。もし、下手をすれば戦いあっていたかもしれないのだ…そう、私のように





猪と山菜を煮た汁物ができた。我ながら良い出来だ。生きていた相手が、まさか仙蔵だったとは。顔をよく見て、まさかとは思ったが。
「ほら、できたぞ。」
「相変わらずだな。…美味そうだ」
「俺が作ったんだから、悪くないと思うぞ?まああり合わせだけどな」
「ああ、美味いよ…。」
嬉しそうに喰うので、さらに嬉しくなった。そして、聞いていいか、少し悩んだ。
「…お前、フリーならたまには忍術学園に顔を出せ。」
「へ?」
「私もフリーになるつもりだが、まだ区切りがついていないのでね。なかなか顔出せないが…伊作が喜ぶぞ」
「!」
全てわかっているよと不敵に笑う仙蔵に、本当に懐かしくて、懐かしくて、なんだか泣きそうな気分だった。
「あいつ、生きてるのか…!」
「相変わらず不運みたいだが、いや、逆に運がいいのかもしれないな。学園で医務してるぞ」
嬉しすぎて、それから色々と聞きたくなってしまったのが間違いだった。























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ああ、私は殺してしまったんだ。





























我慢していた仙蔵が泣き出して、文次郎が死んだのを知った。
「あいつの夢は       」



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