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暑苦しい夏。休みにも関わらず六年生六人は忍術学園に残っていた。ある者は鍛錬に、ある者は薬を煎じ、ある者は読書へ。
善法寺伊作は蝉の音がけたたましく鳴る木のそばの保健室で、独特な臭いを発する薬を煎じていた。そのため部屋中がとんでもない臭いと暑苦しさに包まれていた。
食満留三郎は休み前に終わらなかった学園内の修復作業をしていたのだが休憩をしようと思い、ついでにいつまでも籠もりっぱなしで休みすらしない同室のよしみの伊作を連れ出そうと保健室へ寄ったのだが、酷い状況に鼻をつまんだ。

(本当にマッドサイエンティストだよな)
(夏場に薬煎じるなよ)
(こんな保健室誰も休めないだろ)

そんなこといくら言ってもなかなか融通のきかないとわかっているので、留三郎はもう諦めている。
頼みの綱の新野先生は今は久々の休暇中ということで伊作に保健室を任して家へ帰っているわけで、溜め息が思わず出る。
まあ「どんな時でも、俺が世話をやきたい」だなんて言ったら、伊作は「僕もだよ」だなんていつもの柔らかい笑顔で笑うものだから、俺はこうやってどうしようもないマッドな可愛い彼を迎えにいくのだ。

「伊作!」

部屋へ入るとなんと倒れている伊作。俺の心臓は一瞬停止。何をやってるんだ!









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(それは俺の役目なんだ)





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伊作はただの熱中症



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