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いつも不破雷蔵の姿をしている変装名人鉢屋三郎は有名人だ。だからいつも不破雷蔵は鉢屋三郎と間違えられる(もちろん逆もしかり)。「どうして鉢屋三郎は不破雷蔵の姿をいつもしてるのか?」とある日ある疑問に思った後輩が、鉢屋に「どうしてですか?」と訪ねると、「そんなの、大好きだからさ」と言った。

(だけど三郎は実習のとき、基本的に顔を見せない。)
(とくに危険なときは)

不破雷蔵は基本的に怒ったりすることのないような柔らかい笑顔をする人である。そんな彼はまた忍者の三病迷い癖がある。だから何故三郎はそのとき私の顔をしないのかと聞けずにいた。

「雷蔵」
「なんだい三郎」
「何か言いたいことがあるのだろう?」
「わかるか」
「私が雷蔵のことがわからないわけないだろう?」
「そう、だな。」

三郎は自分の顔をしてるのに、雷蔵はいつも全く別人のように感じる。
(自分の顔を鏡で写してでしか見ることができないからかもしれない。いや、それだけでない。三郎はやはり全く自分と全然違う。)
(三郎の目は純粋なんだよな。曇りがない)

「ら、雷蔵?」
「?」
「い、言うなら早く言ってくれないか?雷蔵に見つめられるとその、恥ずかしい」

(それに、可愛いらしいんだよな)

鉢屋三郎といえば変装名人で、素顔を知る者は誰もいないと有名だ。勿論、不破雷蔵でさえ。そんな彼の性格は、実にやんちゃだと不破雷蔵は思う。よくイタズラをするし、からかう。その上頭もよいから質が悪いと同じクラスの竹谷がぼやいていた。確かにそうかもしれない。けれど基本的に優しいし、実はうたれ弱い。

「どうして、三郎は実習のときあまり私の顔をしないのかと思って」

鉢屋三郎は少し間をおいてから、「雷蔵が、私と間違われて恨まれたら困るから」とぼそぼそと言った。










君と間違われて死ぬのなら本望だよ。
















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私的な現時点での双忍。



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