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(藤内の女装はタチが悪い。)眉間にいつもよりシワを寄せた富松作兵衛は、女装した同級生浦風藤内を見据えながら思った。
浦風藤内とはあの難攻不落の作法委員に所属し、その中の良心をつとめている三年生で、普段は三年は組の優等生。何故なら藤内は生真面目で、予習をしないと落ち着けないのだ。しかし時々予習をしては物を爆発させたりぶっ壊すわけなので、なかなか目が離せない級友である。そんな浦風藤内の女装は、流石作法委員にいるとあって、うまい。それだけではなく、藤内自身元々わりと整った様子をしており、青みがかった艶のある長い黒髪を纏め、少しキリッとした大きな瞳は強調され、まだ幼い桃色の頬。

「さ、作兵衛?どうかな」

おまけにまだ声変わりをしてないかわいらしい声。(ち、ちっくしょー!超好みだぞべらぼうめええええええ)内心盛大に興奮した作兵衛がいた。

「さ、作兵衛?」
「・・・・・・と、と、とうない」
「?」
「こ、これ以上近づくな」

(何かが押さえられなくなりそうだ)と一杯一杯の作兵衛は言うのだが、藤内にはそれにひどくショックする。おかげで思わずでる滴。

「うわああっ、ちょ、えとあ、の、な、泣くなよっ」
「・・・うぐ・・・・」

泣き止まない藤内の姿に、やはり作兵衛は抑えられなくなって、藤内を抱きしめたのであった。















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「富松作兵衛、ブラックリスト追加な」
「はい先輩!」



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