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気づけば自分は男で、カスミは女だった。

いつまでも子供みたいに夢を追いかける自分も、もう子供ではないと感じ初めたのは、背がぐんと伸びた時。もう自分は男なのだと感じたのは、昔は全然わからなかったタケシの大好きな大人のお姉さんの魅力がちょっとわかった時。そして自分が男になってしまったのは、ずっと昔はじめて旅を共にした少女が、誰よりも可愛くてきれいだと思った今。

「久しぶりね。おめでとう、サトシ」

いつからかあまり定期的には電話越しなくなって、随分と長いことチャンピオンになるために必死になって、ついにチャンピオンになって自分はこれ以上に幸せで楽しいことなんてないと思ったその時。お祝いにと現れた彼女を見たその瞬間に、自分は急に不安になって、満たされていたはずの心が、急に疼いて痛くなった。

「何ぼーっとしてんのよ!私が誉めてるんだからもっと喜びなさいよね」
「うわっいきなり近づくなよ!…あぁ、サンキュー」

自分は今、ちゃんと笑えているだろうか。全身が高揚して胸が高ぶるようなバトルをしたはずなのに、なぜか今、それ以上に胸がドキドキとしている。痛いくらいに。
伸びた明るいオレンジ色の髪が風にそよぐ。変わらないとはいえど、すっかり大人の女性だ。それを感じれば感じる程、時の流れの変化に胸がツンと痛くなるのと、それ以上に高鳴る胸の鼓動が収まりそうになかった。

「そうね。夢をつかんだサトシ君にご褒美」

そんなことを言いながら頬にキスをして笑う彼女に翻弄されっぱなしだ。おいおい、こんな事ほかの奴にもしてるのか?カスミはジムリーダーだしやっぱ…胸の高鳴りに焦燥感と苛立ちが募り、その手に掴んだチャンピオンという称号さえくだらないものに思えてきた。手に入れたかと思ったら、すぐ他のものが欲しくなるなんて酷く強欲な男だと思う。




でも、この感情はずっと昔からあったんだ




「それよりもっとさ。」

彼女の細い腕をつかんで。

「でっかいご褒美くれよ」

彼女の細い肩を抱いて。

「好きだカスミ」

彼女の瞳を見つめて。













カスミ、ゲットだぜ。






一周年リクエスト
≫ミルコさま
サトカスもお好きということで、どちらか一方でしたがこの際両方書いちゃいました!サトカスいいですよね!しかしながら大変遅くなり申し訳ありません!こんなカビゴンのような(カビゴンに失礼)うすのろサイトですが、お付き合い頂ければ嬉しいです(笑)リクエストありがとうございました。これからもlapiusをよろしくおねがいします。



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